映像コンテンツの商売の形が、時代とともにどんどん変化しているのを実感する。
映画館でしか鑑賞できなかった時代から、テレビ放送、ビデオ、そしてレンタル、オンデマンド配信。画面の大きさも、現在は映画館のスクリーン、テレビ画面、タブレット、スマホと多様化している。
ただ、未だに映像コンテンツの流用(?)は不可逆というか、大きい画面(映画)から小さい画面(テレビ・スマホ)への一方通行ではあるけど。
映像作品と特典
オイラは、映画館へ映画を観に行って、その後その作品のBlu-rayを買ったりする(笑)
オイラの場合、1度見たことのある映画やテレビ作品のBlu-rayを買うモチベーションの1つに、映像特典がある。
映像特典では、その作品の作り手達の考えや、その考えに至るまでの試行錯誤、作品の制作過程(いわゆるメイキング)を垣間見ることができる。まあ、作品の舞台裏ということなのですが、オイラそういうのも含めて興味があるらしい。(という自己分析)
豪華なパッケージだと、それ以外にブックレットやフィギュアといった封入特典が付いてたりもする。
最近のニュースによると、映画「第9地区」や「チャッピー」で知られるNeill Blomkamp監督のOats StudiosがYouTubeとSteamで作品を公開したという。
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1707/16/news005.html
https://wired.jp/2017/06/24/neill-blomkamp-oats-studio/
ショートフィルム「RAKKA」、「Firebase」、「Zygote」がYouTube上で無料公開されいる。
さらにSteamではなんと、スタジオをサポートしたいユーザー向けに498円の有料DLCを配信している。これは5.1チャンネルの本編映像、コンセプトアート、登場するエイリアンの3DCGデータ、シナリオ、メイキング画像などが付いてくる。これはまさに特典!
http://store.steampowered.com/app/652150/Oats_Studios__Volume_1_Assets/
作品単体は無料で、特典も欲しい人だけ有料というやり方だ。しかもその特典は、作品に使われた素材そのものという。
商品価値の捉え方
以前、実写版の映画「進撃の巨人」の時にも感じたんだけど、特撮ジャンルでは作品自体の出来というよりも、その舞台裏の情報(メイキング)にお金を払う層が多くを占めているような気がする。(オイラも含め)
作品とメイキングがセットで商品価値を持つ、やや特殊なジャンル?

これは、模型雑誌等で言うところの「作例」に近い感覚かもしれない。模型雑誌の作例記事では、完成写真とともに、その制作プロセスの解説・写真が掲載される。たまに、同じキット・モチーフを複数のモデラーが別々のアプローチで制作した特集が組まれることもある。
完成したもの以上に、そこへ至るまでのアプローチ・プロセスに読者の関心が向いている。
インフラの変化
Steamって聞いたことはあるけど、オイラはまだ利用したことがない。特典商法は物理的なパッケージ販売特有の形態かと思っていたけど、Oats Studiosの例を見ると、最近のダウンロード販売のインフラなら可能なんですね。
Steamというプラットフォーム自体は映像の販売に特化したものではなく、ゲームやアプリケーションの販売・配布が中心のようだけど、商品がデータであれば応用が効くということか。
インフラの進化が産業の垣根を壊しつつある。商習慣を特定の業界に縛り付けておくことはもうできない時代が来ているのかも。
一昔前なら「小粒」と言われて出資を得られなかったような企画や商品も、販売インフラの充実によって、少人数の制作者を賄うには十分なリターンが得られるのだろうか。
これからの映像産業
Unity Asset Storeが良い例だけど、完成した作品だけでなく、素材を販売するインフラの充実がコンテンツ産業の裾野を広げ、多様性とクオリティの底上げに大きく貢献しているように思う。(これはゲーム産業の話ですが)
映像分野でも、作品に相応しいロケ地を探す「ロケーション・ハンティング」というプロセスのように、今後は作品に相応しい素材を探す「アセット・ハンティング」なんてプロセスが当たり前になるんでしょうか。ハンティングというか、要するに検索で済むので「アセット・サーチ」か?
2018年10月追記:UnityではVisual Searchという3Dモデルアセット検索ツールを公開した↓
https://connect.unity.com/p/mai-uqian-ni3dmoderuwoshinnei-nizhi-keru-visual-searchwoshi-ou
技術革新などでビジネスの構造が変わることを「ゲームチェンジ」と言ったりするが、他の産業で発展したインフラを別の産業へ応用するだけでゲームチェンジは起こるのかもしれない。隣接産業の変化には敏感になっておいた方が良いんだろうな。
追記:Neill Blomkamp監督は作品制作にUnityも活用しているようだ。Unityで直接映像を作っているわけではなく、あくまでプレビズ用途っぽいので”Made with Unity”ということか。
さらに追記:Neill Blomkamp監督の新作は、昨年6月に公開されたUnityのリアルタイムレンダリングのデモ”ADAM: Chapter 1“の続編”ADAM: The Mirror”。こっちはレンダリングにもUnityを使っている。↓
https://doope.jp/2017/1069810.html
メイキングも公開された↓
追記:Unityがエミー賞を受賞した!
Unityは米国テレビ界最高峰の栄誉・エミー賞のTechnology and Engineering部門を受賞しました! https://t.co/BjwLgRMcsO
— ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン (@unity_japan) 2018年11月17日
以下、YouTubeで公開されているOats Studiosの作品。
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