Mitsuba 2:オープンソースの物理ベースレンダラ

5年前にオープンソースの物理ベースレンダラ「Mitsuba」でちょっと遊んでみたことがあった↓



Siggraph Asia 2019Mitsuba 2が発表されたらしい↓

Mitsuba 2: A Retargetable Forward and Inverse Renderer



現代のレンダリングシステムは、増大し続ける様々な要求に直面しています:
写実性を追求するための物理ベーステクニックでは、スペクトル構成や偏光など光の複雑な特性をますます考慮しなければなりません。
レンダリング時間を短縮するためのベクトル化レンダラでは、CPU、GPU命令レベルで一貫した並列処理が必要です。
Differentiable Rendering(微分可能なレンダリング)アルゴリズムでは、目的関数を最適化するためにシミュレーションの微分値を伝播させる必要があります。(例:参照画像からシーンを再構築するなど)

これらの多様なユースケースに対応するのは困難であり、多くの専用システムが別々に開発されてきました。困難な理由は、これらの複雑な機能を既存のレンダラーに後付けしようとするとエラーが発生したり、基本データ構造、コンポーネント間のインターフェイス、その実装(つまり全て)に侵入的変換を伴うからです。

そこで、前述した様々な用途に対応可能な汎用的なレンダラ Mituba 2を提案します。
Mitsuba 2は最新のC ++で実装されており、テンプレートメタプログラミングを活用し、型の置き換えやコンポーネント(BSDF、ボリューム、エミッター、レンダリングアルゴリズムなど)の制御フローを計測します。そしてコンパイル時に、算術、データ構造、関数ディスパッチを自動的に変換し、汎用アルゴリズムを手作業による再設計無しでそれぞれに効率的な実装に変換します。
変換可能なのは、色の表現の変更、ライトパスのバンドルで動作する「ワイド」レンダラーの生成、GPUで実行される計算カーネルを作成するジャストインタイムコンパイル、自動微分のフォワード/リバースモードです。これらの変換は連鎖させることができ、 単一の汎用実装からアルゴリズムを派生させてさらに充実させることができます。

Mitsuba 2のバイナリやコード自体はまだ公開されていないみたい。

2020年3月 追記新しい公式ページソースコードドキュメントが公開されたぞ↓

Mitsuba 2



Mitsuba 2は、研究指向のリターゲティング可能なレンダリングシステムで、EnokiライブラリをベースにポータブルC++17で記述されています。EPFL(スイス連邦工科大学)Realistic Graphics Labが開発しています。

Mitsuba 2は、色の扱い(RGB、スペクトル、モノクロ)、ベクトル化(scalar, SIMD, CUDA)、Differentiable Rendering(微分可能なレンダリング)など、様々な形態でコンパイルできます。

Mitsuba 2は、小さなコアライブラリセットと、マテリアルと光源、レンダリングアルゴリズムまで幅広く実装した様々なプラグインで構成されています。Mitsuba 2は、以前のバージョンMitsuba 0.6のシーンとの互換性を維持するよう努めています。


スポンサーリンク

以前のMitsubaはバージョン0.6という扱いなのね。
ソースコードはGitHubにある↓
https://github.com/mitsuba-renderer/mitsuba2

ドキュメントはこちら
https://mitsuba2.readthedocs.io/en/latest/src/getting_started/intro/

Mitsuba 0.6との違いのページを読むと理解が早いかもしれん。
Pythonバインディングもあり、PyTorchと組み合わせることもできるみたい。
differentiable rendering (微分可能レンダリング)で早く遊びたいぞ。


スポンサーリンク


Mitsuba 2のプロジェクトページが公開された直後に皆さん反応されていてすごいですね↓
https://qiita.com/syoyo/items/1afb885092d1768c66f8
http://masafumi.cocolog-nifty.com/masafumis_diary/2019/09/post-1677e3.html

追記:Siggraph Asia 2019のセッション動画が公開された↓



だいぶレンダラのパラダイムも変わってきたな。CGもあらゆるプロセスがDifferentiable(微分可能)になっていく感じがする。
Siggraph Asia 2019ではDifferentiable Renderingというセッションが設けられているみたい。

追記:BlenderからMitsubaフォーマットのシーンファイルをエクスポートするアドオンもある↓

Mitsuba 2 Blender Add-On



BlenderのシーンをMitsuba 2のファイルフォーマットにエクスポートするアドオンです。

個人的に、2019年はCG関連のディープラーニング(というか微分可能)の動向が熱かった。


CGのためのディープラーニング
もう半年前のことですが、昨年12月に東京国際フォーラムで開催されたSiggraph Asia 2018 Tokyoで聴講したCourse CreativeAI:Deep Learning for Graphicsの復習を(今頃)しておこうか...

Kaolin:3Dディープラーニング用のPyTorchライブラリ
NVIDIAから3D系のディープラーニング研究のためのPyTorchライブラリが公開された。まだベータ版だから、これからどんどん充実していくんでしょうね。読み方はカオリンで良いのかな?(なんかかわいい)KaolinKaolinは3Dディープ...


追記:Mitsubaは現在バージョン3が登場しています↓
Mitsuba 3:オープンソースの研究向けレンダラ
オープンソースの研究用レンダラMitsubaのバージョン2が発表されたのが3年ほど前。次のバージョンのMistuba 3が発表されました↓Mitsuba 3: A Retargetable Forward and Inverse Rende...


スポンサーリンク

関連記事

Maya には3 種類のシェーダSDKがある?

中学3年生が制作した短編映像作品『2045』

ゴジラ三昧

WebGL開発に関する情報が充実してきている

3Dモデルを立体視で確認できるVRアプリを作っている

OpenMVSのサンプルを動かしてみる

Netron:機械学習モデルを可視化するツール

ZBrushでアヴァン・ガメラを作ってみる 口のバランス調整

AnacondaとTensorFlowをインストールしてVisual Studio 2015で使う

OpenCV

BSDF: (Bidirectional scattering distribution funct...

MVStudio:オープンソースのPhotogrammetryツール

Runway ML:クリエイターのための機械学習ツール

Unreal Engineの薄い本

ブラウザ操作自動化ツール『Selenium』を試す

Transformers ”Reference & Bulid” Siggraph 2007

ジュラシック・パークのメイキング

KelpNet:C#で使える可読性重視のディープラーニングライブラリ

2D→3D復元技術で使われる用語まとめ

実写と実写の合成時の色の馴染ませテクニック

C++ 標準テンプレートライブラリ (STL)

ドラマ『ファーストクラス』のモーショングラフィックス

ラクガキの立体化 3Dプリント注文

FCN (Fully Convolutional Network):ディープラーニングによるSema...

Texturing & Modeling A Procedural ApproachをGoo...

Unreal Engine 5の情報が公開された!

為替レートの読み方 2WAYプライス表示

手を動かしながら学ぶデータマイニング

ROSの薄い本

ラクガキの立体化 1年半ぶりの続き

TorchStudio:PyTorchのための統合開発環境とエコシステム

R-CNN (Regions with CNN features):ディープラーニングによる一般物体...

PythonでMayaのShapeノードプラグインを作る

スターウォーズ エピソードVIIの予告編

GoB:ZBrushとBlenderを連携させるアドオン

3D映画のポストプロダクション 2D-3D変換

MFnMeshクラスのsplit関数

CGレンダラ研究開発のためのフレームワーク『Lightmetrica (ライトメトリカ)』

オープンソースの顔認識フレームワーク『OpenBR』

OpenAR:OpenCVベースのマーカーARライブラリ

CLO:服飾デザインツール

OpenCV 3.3.0 contribのsfmモジュールのサンプルを動かしてみる

コメント