RefineNet (Multi-Path Refinement Network):ディープラーニングによるSemantic Segmentation手法

FCN, SegNet, U-Net, PSPNetに引き続き、ディープラーニングによるSemantic Segmentation手法のお勉強。


ディープラーニングによるSemantic Segmentationアルゴリズムまとめ
これまで勉強したディープラーニングによるSemantic Segmentation手法のアルゴリズム一覧。


次はRefineNet (Multi-Path Refinement Network)について。


スポンサーリンク

RefineNet (Multi-Path Refinement Network)

RefineNet(Multi-Path Refinement Network)は、CVPR 2017で発表されたRefineNet: Multi-Path Refinement Networks for High-Resolution Semantic Segmentationで提案されたSemantic Segmentation手法。RefineNetEncoderDecoder構造で設計されている。



これまで、CNNベースのSemantic Segmentation手法は、Encoderで特徴マップを抽出する過程でsub-sampling(down-sampling)を頻繁に行うため、画像のディティールが失われてしまう欠点があった。(そしてそれを克服する方法が模索されてきた)

この問題に対し、RefineNetではEncoderの各層で出力される解像度の違う特徴マップを段階的に結合するアプローチを取り、各ステップで行う畳み込み処理にResNet (Residual Network)のresidual connection(skip connection)の仕組みを採用することで学習効率を高めている。

RefineNetのネットワーク構造

RefineNetEncoderImageNetで学習済みのResNet101を利用する。ResNet101の各層から出力される特徴マップを解像度ごと(元の画像の1/4, 1/8, 1/16, 1/32)に4つに分け、それぞれのサイズの特徴マップをDecoderへの入力とする。

Decoderには、入力される各サイズの特徴マップに対応して4つのRefineNet block (RefineNet-1, RefineNet-2, RefineNet-3, RefineNet-4)があり、小さい解像度の特徴マップから段階的にRefineNet blockを適用してアップサンプリング・連結していき、画像のディティールを捉えられるよう工夫されている。

そして、最終的に得られるSemantic Segmentation結果(元画像の1/4の解像度)を、バイリニア補間で元の画像サイズへアップサンプリングする。

RefineNet block

上記図中の1番下で最低解像度(1/32)の特徴マップを入力するRefineNet block (RefineNet-4)のみ1pathの入力で、他のRefineNet block (RefineNet-1~3)は2path入力となっているが、4つのRefineNet blockは基本的に同じ構造をしている。
RefineNet blockは、任意の解像度・チャンネル数の特徴マップを任意の枚数入力できるよう一般化した設計となっている↓

Adaptive Conv

RefineNet blockの内部では、まずImageNetで学習済みのResNetの重みをSemantic Segmentationタスク用にfine-tuningするためのAdaptive Conv (Adaptive Convolution Set)がある。


スポンサーリンク

RCU (Residual Conv Unit)

Adaptive Convには、ResNetResidual ModuleからBatch Normalizationを無くして単純化したRCU (Residual Convolution Unit)が2つあり、入力された各特徴マップを畳み込む。
ここで適用される畳み込みフィルタの数はRefineNet blockごとに変えており、入力が1pathのみのRefineNet-4では512、それ以外(RefineNet-1~3)では256に設定されている。

Multi-Resolution Fusion

次に、入力された2つの特徴マップをMulti-Resolution Fusionで結合する。(入力が1Pathの場合は何もせずにMulti-Resolution Fusionを通過する)

Multi-Resolution Fusionでは、まず2つの特徴マップのチャンネル数を揃えるために畳み込みを行った後、解像度の大きい方の特徴マップに合わせて小さい方の特徴マップをアップサンプリングする。
そして、同じチャンネル数・解像度になった2つの特徴マップを結合して高解像度な特徴マップを得る。

Chained Residual Pooling

次に、Chained Residual Poolingで画像の広い範囲から背景のコンテキストを捉える。

Chained Residual Poolingは複数のpooingブロックを連鎖する構成になっており、1つのpoolingブロックが5×5のmax pooling層と3×3の畳み込み層のセットで構成されている。

Chained Residual Poolingでは、前のpoolingブロックの出力を次のpoolingブロックの入力とする階層構造により、前のpooling結果を再利用している。これによって、大きなpoolingウィンドウを使用しなくても、画像の大域的な特徴を捉えることができる。ここで行うpoolingのstrideは1なので、特徴マップのサイズは変わらない。
各poolingブロックから出力される特徴マップは、residual connectionによるsum(足し合わせ)で統合される。足し合わせる際の重みは各poolingブロックの最後の畳み込み層で学習する。

Output Conv

RefineNet blockの最後に、もう1つRCU (Residual Conv Unit)がある。つまり、各RefineNet blockには合計3つのRCUが配置されている。

RefineNet block (RefineNet-2~4)での振る舞いを最後のRefineNet block (RefineNet-1)に反映させるために、ネットワークの最終層のSoftmax関数の前にRCUを2つ追加する。
こうして各RefineNet blockで段階的にアップサンプリング・結合した特徴マップに非線形関数を適用して最終的な特徴マップを得る。

サンプルコード

例のごとくPyTorchの実装例↓
https://github.com/thomasjpfan/pytorch_refinenet

次は再び一般物体検出に戻ってMask R-CNNについて勉強しよう↓


ディープラーニングによる一般物体検出アルゴリズムまとめ
これまで勉強したディープラーニングによる一般物体検出手法のアルゴリズム一覧。

ディープラーニングによるSemantic Segmentationアルゴリズムまとめ
これまで勉強したディープラーニングによるSemantic Segmentation手法のアルゴリズム一覧。


スポンサーリンク

関連記事

OpenCV3.3.0でsfmモジュールのビルドに成功!
Super Resolution:OpenCVの超解像処理モジュール
Facebookの顔認証技術『DeepFace』
UnityでOpenCVを使うには?
3D復元技術の情報リンク集
Blendify:コンピュータービジョン向けBlenderラッパー
OpenCVで平均顔を作るチュートリアル
コンピュータビジョンの技術マップ
顔検出・認識のAPI・ライブラリ・ソフトウェアのリスト
OpenGVのライブラリ構成
TeleSculptor:空撮動画からPhotogrammetryするツール
.NETで使えるTensorFlowライクなニューラルネットワークライブラリ『NeuralNetwo...
顔追跡による擬似3D表示『Dynamic Perspective』
Runway ML:クリエイターのための機械学習ツール
池袋パルコで3Dのバーチャルフィッティング『ウェアラブル クロージング バイ アーバンリサーチ』
Alice Vision:オープンソースのPhotogrammetryフレームワーク
機械学習に役立つPythonライブラリ一覧
PyDataTokyo主催のDeep Learning勉強会
OpenCVの三角測量関数『cv::triangulatepoints』
OpenGVの用語
UnityでPoint Cloudを表示する方法
ArUco:OpenCVベースのコンパクトなARライブラリ
CNN Explainer:畳み込みニューラルネットワーク可視化ツール
PGGAN:段階的に解像度を上げて学習を進めるGAN
海外ドラマのChromaKey
PSPNet (Pyramid Scene Parsing Network):ディープラーニングによ...
Photogrammetry (写真測量法)
ニューラルネットワークと深層学習
機械学習のオープンソースソフトウェアフォーラム『mloss(machine learning ope...
R-CNN (Regions with CNN features):ディープラーニングによる一般物体...
OpenCV 3.3.0-RCでsfmモジュールをビルド
Google製オープンソース機械学習ライブラリ『TensorFlow』のWindows版が公開された
MeshroomでPhotogrammetry
Cartographer:オープンソースのSLAMライブラリ
MLDemos:機械学習について理解するための可視化ツール
Houdiniのライセンスの種類
LLM Visualization:大規模言語モデルの可視化
Open3D:3Dデータ処理ライブラリ
ツールの補助で効率的に研究論文を読む
Faster R-CNN:ディープラーニングによる一般物体検出手法
Adobeの手振れ補正機能『ワープスタビライザー』の秘密
Adobe MAX 2015

コメント