映画『ゴジラ-1.0』を4DX SCREENで鑑賞 (ネタバレあり)

映画「ゴジラ-1.0 (ゴジラマイナスワン)」公開初日はIMAX(額縁上映)で鑑賞した。



ゴジラ-1.0」は邦画初のScreenX上映対応とのことで、ぜひ上映期間中に体験しておきたいと思い、どうせならと4DXの演出とScreenXを同時に体験できる4DX SCREENという上映方式を体験してきた。
4DX SCREENは少し前まで4DX with ScreenXと呼ばれていたらしい↓



4DX SCREENは、4DXの座席揺れや風・ミスト等の演出に加え、ScreenXの部屋全体に広がる3面スクリーンが体験できる。

4DX SCREENを備えた映画館はまだ国内に4つしかないらしく、鑑賞できる劇場はかなり限られている。オイラはグランドシネマサンシャイン 池袋で鑑賞してきた。4DX SCREENの鑑賞料金は通常の映画鑑賞料金+1,600円だった。

実は公開初日のIMAXグランドシネマサンシャイン 池袋で鑑賞したのでした。(額縁上映でもとにかくデカいスクリーンで視界を全て覆いたかった)
IMAXの方はプレミアムシートで鑑賞し、ミールクーポンは限定フィギュア付きドリンクの購入にあてた。


スポンサーリンク

4DX SCREEN体験

国内に4つしかない4DX SCREENの希少性の割には観客が少なく、座席の埋まり具合は3分の1程度。観客のほとんどはシアターの後ろ側の席に陣取っていた。
確かに、ScreenXの3面スクリーン全てを堪能するには、左右の壁のスクリーン全体が視界に入るまで後ろに下がらないと損かもしれない。払った料金分をちゃんと見た方が元は取れる。
オイラはいつもの癖(?)でシアター中央よりも前寄りの席を取ってしまった。

座席選び

映画館の座席のベストポジションは好みが別れるところだが、オイラは縁が見えなくまでスクリーンに近づいて視界を全て映画で覆うぐらいが好み。映画以外の要素はなるべく視界に入れたくない。この感覚は特に「アバター」以降の3D上映が普及・流行し始めた頃に芽生えたもの。映画館の大きいスクリーンで鑑賞する価値は、日常を忘れて作品に没入できることだと思うようになったからだ。
それ以前は縁まで全部見渡せるぐらい後ろ側の席を好んでいた。お金を払った分は逃さず全部視界に入れようと思ってた。(貧乏性)

鑑賞前の諸注意

上映前の諸注意がやや特殊だった。上映中のホットドリンク・アルコール飲料・アイスクリームの飲食は禁止だそうで、上映開始前に完食するよう促された。(割と無茶)
冷たいソフトドリンクやポップコーンなどは上映中の飲食も構わないとのことだったが、映画館の物売店でもらえるトレーは使えないらしく、上映開始前にスタッフが回収していた。

ScreenX対応の予告編

映画本編前のCM・予告編上映で、「マーベルズ」の予告編だけScreenX対応で左右の壁にも映像が投影されていた。(4DXには未対応で座席は揺れなかった)

正面スクリーンに映る映像は通常の映画館で流れている予告編と同じものだが、それに繋がる形で左右のスクリーンへ視野が拡張され、正面には写っていない登場人物との位置関係や視線の先にあるものが見えるようになっている。
ハリウッド映画は制作段階からScreenX上映を想定して素材を用意しているのだろうか。それぐらい情報量が増えている。画面が左右に拡張されることで旧来の映画のカット割りやカメラワークによる演出意図から外れたものにはなるが、それ以上の文脈を表現できるポテンシャルがあり、それを活かせるかはScreenXの演出次第だろう。

ScreenX対応コンテンツの制作方法

調べてみると、ScreenX用の左右スクリーンの映像の制作方法は大きく3通りあるらしい。

  1. CGで制作
  2. 本編未使用の撮影素材や、本編中の映像をつなぎ合わせて制作
  3. 撮影段階から3面分の映像を撮影

3はコンサート映像などかなり特殊な場合のみで、映画作品は1と2の方法が主流なようだ。
そう考えると結構無茶なコンテンツというか、凝ったVFX映像の作品ほど制作難易度も上がりそうな気がする。

ゴジラ-1.0 4DX SCREEN版の感想

ゴジラ-1.0」の鑑賞は2度目となるので、どんなシーンがあるのかは把握済み。
どのシーンで4DX SCREENの演出が入るのか、それによって体験がどう変わるのか意識しながら鑑賞した。
以下は映画の内容ネタバレありの感想。

通常の4DX同様、全編を通じて4DX SCREENの演出があるわけではなく、要所要所で演出が入る感じ。
4DX演出が動きのあるアクションシーンに集中するのは予想通りだったが、ScreenX演出の方はアクションシーンだけというわけでもなく、逆にアクションシーンでもScreenX演出が入らないシーンもあった。
逆に、静かなシーンであっても、空間の広がりを感じさせるロケーションでは左右スクリーンに風景が拡張されていた。本作は海のシーンが多いのもあり、海が見える昼間のシーンはScreenXでその広さが協調されていた。

東宝マーク明けから4DXScreenX演出で大戸島に着陸する零戦。そのままずっと大戸島の海岸沿いのロケーションが3面スクリーンで広がっていた。だが、夜の大戸島はアクションシーンなのにScreenX演出が無かった。
主人公が見る悪夢のシーンでは、それを強調するように左右スクリーンに抽象的な映像が投影されていた。

ScreenX演出で唯一首をかしげてしまったのが、米軍と日本政府によるゴジラ発見報告のモンタージュ。あの映像を左右スクリーンに拡張する必要はあったのか?

ゴジラが銀座を襲撃するシーンでももちろんScreenX演出が入ったが、正面スクリーンの映像が圧巻で左右スクリーンを気にしている余裕はなかった(笑)
クライマックスの戦いはもちろんScreenX演出だった。


スポンサーリンク

4DX SCREEN演出が効果的だったシーン

4DX SCREENが特に効果的に感じたのは、中盤の新生丸がゴジラと遭遇するシーン。

ScreenXの左右スクリーンに大海原が広がることで、孤立無援で誰にも助けてもらえない状況が強調され、4DXの座席揺れ・水しぶき・風が海の臨場感を高めてくれた。
4DXは水の無いシーンの演出も水しぶきで代用してしまう傾向にありそれが興ざめにもなるのだが、大海原に浮かぶ小型船で感じる揺れや海風・水しぶきが4DXの規格とぴったりハマっていた。

4DXとの違い

4DX SCREEN4DXScreenXではあるが、4DX演出は通常の4DXと全く同じというわけではなく、座席の揺れに関しては通常の4DXの座席揺れよりもやや大味で控えめだが、それがむしろ小型船の揺れの振幅に近く感じられた。大立ち回りがひと段落ついた後の海風の余韻がとてもリアルだった。
一方、通常の4DXでは同シーンが座席から振り落とされそうなレベルの過剰な揺れ演出となり、シートベルトが必要だと感じた(笑)

気になった点

4DX SCREENでの「ゴジラ-1.0」をだいぶ楽しんだわけだが、4DX SCREENというかScreenXについて気になったこともいくつかある。

カメラワークの演出を殺してしまう

通常のスクリーンのみを想定したカメラワークによる演出が、ScreenXによって台無しになっている箇所があった。カメラがパンすることで徐々に風景がフレーム内に入ってきて全貌が明らかになっていくカットが、カット冒頭から左右スクリーンに全貌が映っていてネタバレ状態になっているカットがあった。

正面スクリーンと左右スクリーンの色のギャップ

スクリーンはプロジェクターから投影された光を反射して画を表示しているため、その発色は少なからず指向性を持ち、見る角度によって色味は変動する。角度がつくほど映像の彩度は落ちてスクリーンそのものの色に近づく。
このせいで、正面のスクリーンと左右のスクリーンの色が合わず、映像が繋がって見えないのだ。これは、後ろ側の席ほど正面スクリーンと左右スクリーンの色のギャップがより大きく感じるだろう。
それを見越して映像そのものの色を多少調整したりしているのだろうか。でもこれは座席位置によって見え方が変動するのでソフトウェア的に完全に解消できない問題。

動く書割

本作のScreenX映像はおそらく、本編中の映像をつなぎ合わせて制作されたもので、その出来が苦しいカットも多々あった。
無い情報を捏造するようなことなのでしかたがないのだが、冷静に左右のスクリーンに目を向けるとかなりヘンテコな画が投影されている。被写体に動きのあるカットでその違和感が顕著で、書割を無理矢理動かしているので立体感が無く、正面スクリーンの動きと微妙にズレてて気になった。
正面スクリーンの素材を無理矢理左右反転して引き延ばしているのがハッキリ分かるカットや、正面スクリーンの画面外から歩いてくる人が左右のスクリーンに映っておらず突然正面スクリーンに現れたり、逆に正面スクリーンからフレームアウトする人が左右のスクリーンに現れず消えてしまう箇所も気になった。

左右スクリーンの映像に精緻なものを期待してはいけないようで、左右スクリーンの役割はあくまで正面スクリーンの映像と周辺視野の輝度変化を連動させるためのものと割り切る必要がありそうだ。

ScreenXは鑑賞環境のハードウェア規格が先行し過ぎていて、ソフト制作が追いついていない印象を受けた。AIによる画角拡張技術が発展するとこの辺のギャップは埋まっていくのだろうか。

4DX SCREENに期待すべき効果

さて、初めて4DX SCREENを体験してみて、弱点はあるもののその長所の楽しみ方も分かった気がする。
ScreenXの左右スクリーンに投影される映像は、隅々まで凝視するためのものではなく、正面スクリーンだけでは空白になってしまう周辺視野の隙間を埋めて空間の広がりを感じるためのもの。そう考えると、4DX SCREENの座席のベストポジションは中央よりも前寄りで、今回オイラが取った席が割と正解だったような気がする。

通常の4DXでは最前列の席でもスクリーンの映像だけで水平視野を全て覆うことができず、また最前列の席だとスクリーンをかなり見上げる姿勢を強いられるので、4DX SCREENで無理なく周辺視野の空白埋められる価値は感じる。

空白だった周辺視野が左右のスクリーンで埋まって没入感が高まる理屈は、10年前にMicrosoft Researchが発表したデモ「IllumiRoom」が狙っていた効果に似ている。



調べてみると、ScreenXが登場し始めたのも同じく10年前らしく、視野拡張は当時流行した考え方だったのかも。

個人的に、左右の映像を無理矢理捏造するよりも元の映像を視野いっぱいに拡大した上映形態の方が違和感を抱かず鑑賞できそうな気がする。4DX with IMAXみたいな上映形式があった方が楽しめそう。

黒の表現はDolby Cinemaの真っ暗な感じが好きだけど。何で各上映方式が一長一短で、課金した分だけグレードが上がるような上位互換が存在しないんだろう。

気づくと、「ゴジラ-1.0」は東宝の作品なのに東宝系の映画館では鑑賞していないな。

2024年4月 追記:リブランディングされ、4DX SCREENからULTRA 4DXへと名称が変わるらしい。



https://av.watch.impress.co.jp/docs/news/1585369.html


スポンサーリンク

関連記事

Web配信時代のコンテンツ構成
書籍『人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている』読了
恐竜造形の指南書
平成モスラ3部作がBlu-rayボックス化!
海洋堂 20cmシリーズ『84ゴジラ』 背びれ・下アゴパーツの軸打ち加工
2021年4月 振り返り
ZBrushでゴジラ2001を作ってみる 側頭部のボリュームを探る
酒井ゆうじ造型工房『23cm シン・ゴジラ』 表面処理 その1
Mr.ビーン
酒井ゆうじ造型工房 20cm ゴジラ 2000ミレニアムの爪の塗装
ゴジラの口の色
プログラミングスキルとは何か?
海洋堂 20cmシリーズ『デスゴジ』 クリアーオレンジVer. 仕切り直し
シン・ゴジラがS.H.MonsterArtsで11月発売予定
ビリケン商会 メカゴジラⅡ 電飾を仕込む
海洋堂 20cmシリーズ『84ゴジラ』 眼・口の周りのレタッチ
映画『シン・ウルトラマン』が2021年公開予定!
第20回 文化庁メディア芸術祭『3DCG表現と特撮の時代』
『THE仮面ライダー展』を見てきた
ガワコス
『シン・ゴジラ』の感想 (ネタバレあり)
4K HDR『ガメラ3 邪神覚醒』
書籍『クラッシャー上司 平気で部下を追い詰める人たち』読了
ZBrushのキャンバスにリファレンス画像を配置する
2021年9月 振り返り
海洋堂 20cmシリーズ『デスゴジ』 クリアーオレンジVer. 遮光塗装
続・ゴジラ2000ミレニアムの塗装
映画『キングコング: 髑髏島の巨神』を観た
酒井ゆうじ造型工房『23cm シン・ゴジラ』 表面処理 その2
スマホでカラーチューニングできるペンライト『KING BLADE X10 III』
東宝30㎝シリーズ 酒井ゆうじ造形コレクション ゴジラ(2016) ソフビ組立キット
書籍『伝わる イラスト思考』読了
映画『ダウンサイズ』を観た
ワンダーフェスティバル2021[冬]はWeb開催
酒井ゆうじ造型工房『23cm シン・ゴジラ』 爪の塗装・全身に黒のグラデーション塗装
『風の谷のナウシカ』を映画館で観た
Mayaのポリゴン分割ツールの進化
ゴジラ誕生祭 スピンオフ 池袋HUMAXシネマズ ゴジラまつり
映画『シン・ウルトラマン』の特報!
映画『羅小黒戦記(ロシャオヘイセンキ) ぼくが選ぶ未来』を観た
国産ゴジラの総監督は庵野秀明
ワンダーフェスティバル2016[夏]に行ってきた

コメント