機械から情報の時代へ

007シリーズの最新作「007 スペクター」を観てきた。



ジェームズ・ボンド役がダニエル・クレイグになってからのシリーズも、今作で一区切りみたいな感じ。
ピアース・ブロスナンが演じた前のシリーズからダニエル・クレイグへ代わって以降、スパイの秘密道具があまり活躍しない、リアル路線(?)な作風になっていたが、それは時代がメカ(機械)から情報の時代へ変化してしまった影響なのかもしれない。


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考えてみれば、スマートフォンの存在は一昔前ならスパイのアイテムだったかもしれないが、今の時代にそれの延長を見せられても日常風景にしか見えない。世界中のどこからでも通信できて、瞬時にあらゆる情報にアクセスできるのはスパイの特権というほど大げさなものでもなくなってしまった。そう考えると、IoTってちょっとスパイグッズっぽい感じもしてくる。

情報端末は異常なほど進化したのに比べ、意外とメカは大きく進化していない。レトロフューチャーというか、昔の映像作品で描かれる未来像というと、テクノロジーの進化は機械の進化で描かれていた。バック・トゥ・ザ・フューチャーでもそうだったけど、未来の車は大抵空を飛んでましたね。

過去の007シリーズでも、特殊なギミックを搭載した乗り物がクライマックスで大活躍する時代があった。今時それをやるとちょっとパロディっぽくなってしまうのか、クライマックスシーンには持ってこないようだ。
時代と共に、SFと現実のズレに観客が気づいてしまったからだろうか。どうにも、今という時代の延長にそんな技術は登場しそうにないという感覚が。

最近リメイクされたサンダーバードも、50年前に想像した未来を描いた作品だ。ここでもメカの進化で未来が描かれている。リメイク版ではメカはオリジナル版をかなり踏襲したノスタルジックな未来像のまま描かれている。だが、情報技術の進化についてはかなり現代的な解釈とアレンジが盛り込まれている。
情報収集が役目のサンダーバード5号だけはオリジナルから大きく変わっている。外観はもちろん、内部のインターフェイスは表現は完全にオリジナルな3D UIデザインになっている。情報技術については、オリジナル当時に描かれた未来像を遥かに追い越しているから、踏襲するまでもなく、創造の余地がかなりあるんだろう。



最近、日本を「技術立国」と言う人達の考える「技術」というものがほぼイコール「機械」のことを指しているような印象を受けるのが少し気になる。昔思い描いたノスタルジックな未来像を未だに追っているような、今という時代が見えていないような。
昨今の日本でのロボットブーム(?)も、そんなノスタルジックな未来像を体現したもののようにも見える。日本人は意外とまだ過去に生きているんじゃないだろうか。

Thunderbirds : サンダーバード 完全記録 [ハードカバー]


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