Web配信時代のコンテンツ構成

3月末から、1972年に放送された円谷プロ作品「レッドマン」が円谷プロ公式Youtubeチャンネルで配信されている。



レッドマンは朝の子ども番組「おはよう!こどもショー」のワンコーナーで流れる作品のため、1話が5分程度ととても短い構成。ミニチュアセットは登場せず、全編ロケなので等身大ヒーローにも見えるが、設定上は身長42m、体重3万tの巨大ヒーローらしい。敵として登場する怪獣は、ウルトラマンシリーズや円谷プロの他のシリーズに登場した怪獣が流用されている。

Youtubeでの配信開始後、その唐突な展開がじわじわと話題になり、ニュースサイトでも取り上げられ始めている。
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1604/20/news084.html

テレビ放送時はレッドマン本編前に番組内で前説があったそうですが、レーザーディスク化された頃からレッドマン本編の戦い描写だけがコンテンツとして残って現在に至る。(権利の問題?)

怪獣の出現や破壊シーンといった、いわゆる怪獣映画・番組のようなドラマ描写が省略され、怪獣に遭遇→殺すという急展開な構成は、以前からファンの間で「赤い通り魔」と呼ばれたりもしていた。レッドマンの発するセリフは怪獣遭遇時の「レッドファイト」と技・武器名ぐらい。
「赤い通り魔」という異名は特撮博物館の音声ガイドでも紹介されていたので、もう歴史的というか、特撮文化の1つと思って良いんでしょうかね。



レッドマン本編中は特にナレーションもなく、レッドマンの生い立ちを知る手掛かりは主題歌の歌詞ぐらい。「はるか銀河の赤い星から 光にのってやってきた」ぐらいしかわかりませんが。



そしてこの「おはよう!こどもショー」内の特撮コーナーはゴッドマン、グリーンマンと続く。(これらは円谷プロ作品ではなく東宝作品)
ゴッドマンについてはニコニコ動画の登場初期にネタとして盛り上がっていた記憶がある。その流れでDVD発売に至ったので、違法アップロードをきっかけにある種の商業的ブームを作ったとも言える。



レッドマンをはじめとしたこれらの短い尺の番組、古くは円谷プロの「ウルトラファイト」のような5分枠番組(賞味3分弱)って、むしろ今のWeb配信時代にこそ活きてくるんじゃないかと思う。ニコニコ動画初期にゴッドマンがウケたのも、ちょうど番組の尺がWeb配信というプラットフォームにマッチしたからではないだろうか。(もちろんツッコミどころが多い作風も効いていると思うが)

つけておけば延々と勝手にコンテンツが時間単位で切り替わっていくテレビと違い、Web配信のコンテンツはより能動的なユーザーの視聴態度が必要だ。そのコンテンツを観ようと思ってクリックし、飽きたらウィンドウを閉じてしまう。スマートフォンの登場で、移動中やちょっとした空き時間でもWebコンテンツを観れるようにはなったが、スマホの画面でテレビのような「ながら視聴」は難しいし、そもそも隙間時間では30分番組ですら視聴できない。

長いコンテンツの代表格である映画も、今やシネコンが主流となり、1つの劇場でもユーザーの選択肢は多い。選択肢が増え、コンテンツの視聴の前に「ユーザーが能動的に選択する」という行動があたりまえのように必要な時代だ。

Web時代の起承転結

最近思うのだが、「起承転結」や「序破急」のようなストーリー創りの方法論を「客をストーリー(コンテンツ)へ引き込むための方法論」と拡大解釈してみると、Web配信時代における「起」や「序」は、コンテンツがクリック(再生)された時点で終わっているのではないか、と。もっと言うと、広くコンテンツの存在が認知された時点で「起」や「序」はクリアしたと言える気がする。クリックされた時点では「承」まで来ている。

と考えると、コンテンツの中身自体は「転」あるいは「破」から始まっていても問題無い。というか、その方が冗長性が無く、ユーザーが飽きて離脱してしまうリスクが低くなり、都合が良い。

では、「結」や「急」はどうなるのか。Web配信コンテンツの性質を考えると、「結」と「急」はコンテンツ自体に含まれていなくても構わない。完結していなくても、まとまりが悪くても、他の誰かが補完してくれるからだ。それはまとめサイトかもしれないし、SNS上でファン同士が考察したものかもしれない。

一昔前の尺度で見れば、レッドマンのようなコンテンツは言わば「欠陥コンテンツ」なのだが、Web配信の時代においては強力な「転」であり「破」を持った「話題性」に溢れたコンテンツなのだ。

http://markezine.jp/article/detail/25707

関連記事

『劇場版ウルトラマンR/B セレクト!絆のクリスタル』を観て...

『シン・ゴジラ』観ました (ネタバレ無し)

『風の谷のナウシカ』を映画館で観た

昔Mayaでモデリングしたモデルをリファインしてみようか

自分の書いたコードは行数の3分の1ぐらいがコメントだったりす...

2015年10月21日

2022年6月 振り返り

映画『ウルトラマントリガー エピソードZ』を観てきた

映画から想像するVR・AR時代のGUIデザイン

プレイステーション3用ソフト『ゴジラ-GODZILLA-』

2020年5月 振り返り

2022年12月 振り返り

まだまだ続く空想科学読本

日本はアニメ大国(笑)

エアブラシの思い出

2023年9月 振り返り

犬が電柱におしっこするように、僕はセカイカメラでエアタグを貼...

スクラッチとマッシュアップ

映画『ウルトラマンブレーザー THE MOVIE 大怪獣首都...

『劇場版 ウルトラマンジード つなぐぜ! 願い!!』を観てき...

インターフェイスは世界を規定する

過程を晒す

2023年5月 振り返り

生物の骨格

遺伝子検査で自己分析

BS-TBS 必見!就活リサーチ[再]「TBS編」

実写版『進撃の巨人』を観た (ネタバレあり)

2019年12月 行動振り返り

PowerPointによるプレゼン

自分のスキルセット

2023年1月 振り返り

『劇場版 ウルトラマンオーブ 絆の力、おかりします!』を観て...

2018年1月~3月 振り返り

メカコレクション ジェットビートル メタリック塗装

今夜の金曜ロードショーはヱヴァだね

GMKゴジラの口接着

仮面ライダーアマゾンズ Season 2

劇場版『仮面ライダーエグゼイド トゥルーエンディング』を観た...

TOHO MONSTERS KIT メカゴジラ (1993)...

映画『シン・ウルトラマン』の公開日が2022年5月13日(金...

Amazon プライム・ビデオでゴジラシリーズが全作見れるぞ...

2020年3月 振り返り

コメント