書籍『コンテンツの秘密』読了

ドワンゴの会長で、スタジオジブリのプロデューサー見習いをしていた川上量生さんの著書「コンテンツの秘密 ぼくがジブリで考えたこと」を読んだ。
何かと積読ぎみのオイラですが、このは本は読みやすかったので積まずにすぐ読み終えた。



オイラは意外にも、川上氏の著書を読むのは今回が初めてだった。


スポンサーリンク


川上氏のWebのコラムやインタビュー記事は割と良く目にしていたのと、podcastで聞いているラジオ番組「鈴木敏夫のジブリ汗まみれ」にも川上氏がよく登場していたので、結構著書を読んでいるような気になっていた。


スポンサーリンク

冒頭で川上氏が「僕のジブリの卒論」と語っているように、この書籍は川上氏がスタジオジブリでプロデューサー見習いとして見てきたコンテンツ制作・ビジネスの世界を理論的に考察してまとめたもの。「経験」や「才能」と呼ばれる要素が重要視されるコンテンツ業界を、体系的な知識・理論として説明しようとしている。

「コンテンツ」の質を説明するのにディープラーニングの例が登場するのは本書ぐらいでしょうね。「卒論」としてはやや長く、「書籍」としてはやや短いぐらいの文量で、論文というほど堅い文体・厳密な論理展開にはせず、書籍として読みやすいように配慮されている印象を受ける。

最初に「コンテンツ」と呼ばれているものの定義を確認し、それを作る人達「クリエイター」とは何を目指し、実際には何をしているのかを紐解いていく。
ご存知の通り、川上氏のドワンゴという会社は「ニコニコ動画」という「コンテンツを載せる仕組み」を運営しているため、そこから得たコンテンツの事実も引用しながら、観客はコンテンツの何に惹かれ、金曜ロードショーで何度放送されても飽きられないジブリ作品の秘密を分解していく。

この書籍を読んで改めて思ったのは、日本のアニメなどのコンテンツが世界で評価される中で、その質は個人個人の属人的な技能に頼りすぎてるんだろうな、ってこと。彼らのような大監督が亡くなったら、すぐに衰退してしまうような、とても脆い産業だ。
現場を知り、それを体系的な知識として後世に伝承しようってことを疎かにしてきたツケというか、日本という国は偶然登場する「職人」を作りがちだし、それに頼り過ぎているように感じる。
コンテンツに限らず、どの分野でも「人を育てる」ということをあまりにも軽視しているような。

この書籍で語られている内容が完全ではないとしても、こういう作業を続けることはとても重要だと思う。この書籍のように、「才能」や「経験」と呼ばれてブラックボックスとなっている「知」を、少しでも理論体系として世に広める習慣が根付けば良いな、と思う。


スポンサーリンク

関連記事

2021年9月 振り返り
2016年の振り返り
書籍『GODZILLA GRAPHIC COLLECTION ゴジラ造型写真集』が出るぞ
まだまだ続く空想科学読本
東京オリンピックと案内表示
生物の骨格
書籍『グラビアアイドルの仕事論』読了
小説『仮面ライダーエグゼイド ~マイティノベルX~』読了
映画『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』を観た (ネタバレ無し)
実写版『進撃の巨人』を観た (ネタバレあり)
S.H.MonsterArts 輝響曲 ゴジラ(1989)
ボールペンに変形するトランスフォーマー『TRANSFORMERS コンボイペン』
2019年1月~2月 振り返り
2020年7月 振り返り
Structured Approach
仮面ライダー4号
企画とエンジニア 時間感覚の違い
『きたぞ!われらのウルトラマン』を観てきた
「考える」と「調べる」は違う(と思う)
職場におけるセルフブランディング
『劇場版 ウルトラマンジード つなぐぜ! 願い!!』を観てきた
仮面ライダーBLACK SUNの配信が始まった!
こんなところで身体を壊している場合じゃない
映像ビジネスの未来
2020年12月 振り返り
2021年4月 振り返り
PowerPointによるプレゼン
機械から情報の時代へ
映画『パシフィック・リム:アップライジング』を観た (ネタバレ無し)
映画『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』を観てきた (ネタバレ無し)
言葉が支配する世界
『劇場版 ウルトラマンオーブ 絆の力、おかりします!』を観てきた
2022年6月 振り返り
ふなっしーのプラモデル
Web配信時代のコンテンツ構成
実写版『進撃の巨人』の後篇を観た(ネタバレあり)
2023年2月 振り返り
書籍『メイキング・オブ・ピクサー 創造力をつくった人々』を読んだ
Amazonプライム・ビデオに仮面ライダーが続々登場
『シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション』を観た
書籍『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』読了
瞬発力の時代

コメント