Mitsuba 3:オープンソースの研究向けレンダラ

オープンソースの研究用レンダラMitsubaのバージョン2が発表されたのが3年ほど前。



次のバージョンのMistuba 3が発表されました↓

Mitsuba 3: A Retargetable Forward and Inverse Renderer



Mitsuba 3は研究指向のリターゲット可能なレンダリングシステムであり、Dr.Jit Just In TimeコンパイラによるポータブルなC++ 17で記述されています。Mitsuba 3は、EPFLのRealisticGraphicsLabによって開発されました。

Mitsuba 3は、微分トラッキング、LLVMまたはCUDAを介した動的コンパイル、様々なラディアンス表現(モノクロ、RGB、またはスペクトル光、場合によっては偏光)などのオプションを選択でき、様々な形態へコンパイルできます。

Mitsuba 3は小さなコアライブラリと、マテリアルや光源からレンダリングアルゴリズムに至るまでの全ての機能を実装したプラグインの集合で構成されています。Mitsuba 3は、旧バージョンのMitsuba 0.6とのシーン互換性の維持に努めています。

Dr.Jitととは何かというと、微分可能レンダリングのために開発された新しい実行時コンパイラ(Just In Timeコンパイラ)だそうで、SIGGRAPH 2022で発表されるらしい↓

Dr.Jit: A Just-In-Time Compiler for Differentiable Rendering





Mitsuba 3は既にソースコードがGitHubで公開されており、READMEにより詳しい概要説明がある↓

Mitsuba Renderer 3

Mitsuba 3は、スイスのEPFL(スイス連邦工科大学ローザンヌ校)で開発された順方向(forward)および逆方向(inverse)の光輸送シミュレーションのための研究指向のレンダリングシステムです。コアライブラリと、マテリアルや光源からレンダリングアルゴリズムに至るまでの全ての機能を実装したプラグインの集合として構成されています。

Mitsuba 3はリターゲット可能で、基盤となる実装とデータ構造を様々な異なるタスクへ変換して実行できます。例えば、同じコードでスカラーRGB輸送(1度に1つの光線を扱う古典的手法)とGPU上での微分可能スペクトル輸送の両方をシミュレートできます。これは全て、このプロジェクトのために特別に開発された専用のJIT(Just In Time)コンパイラ Dr.Jitでビルドされます。

主な機能

  • クロスプラットフォーム:Mitsuba 3はLinux (x86_64), macOS (aarch64, x86_64), Windows (x86_64)でテスト済みです。
  • ハイパフォーマンス:基盤となるDr.Jitコンパイラはレンダリングコードをカーネルに融合し、CPUをターゲットとするLLVMバックエンドと、レイトレーシングハードウェアアクセラレーションを備えたNVIDIA GPUをターゲットとするCUDA/OptiXバックエンドを使用して最先端のパフォーマンスを実現します。
  • Pythonファースト:Mitsuba3はPythonと深く統合されています。マテリアルやテクスチャだけでなく、全てのレンダリングアルゴリズムをPythonで開発でき、システムをすぐにJITコンパイル(さらにオプションで微分も)できます。これにより、コンピュータグラフィックスやその他分野の研究に必要な実験が可能です。
  • 微分:Mitsuba 3は微分可能レンダラです。つまり、カメラのポーズ、ジオメトリ、BSDF、テクスチャ、ボリュームなどの入力パラメータについて、シミュレーション全体の導関数を計算できます。Mitsuba 3には、EPFLで開発された最新の微分可能レンダリングのアルゴリズムを実装されています。
  • スペクトルと偏光:Mitsuba 3は、単色レンダラー、RGBベースのレンダラー、スペクトルレンダラーとして使用でき、各形態で必要に応じてオプションで偏光の影響を考慮できます。

Mitsuba 3は既にチュートリアル動画もとても充実している↓



ドキュメントはこちら。Mitsuba 3はpipですぐインストールできるのがイマドキな感じですね。

Blenderアドオンはこちら↓

Mitsuba Blender Add-on

関連記事

書籍『仕事ではじめる機械学習』を読みました

Google製オープンソース機械学習ライブラリ『TensorFlow』のWindows版が公開された

映画『ジュラシック・ワールド/炎の王国』のVFXブレイクダウン まとめ

映画『ミュータント・タートルズ』を観てきた

mentalrayのSubsurface Scattering Shader『misss_fast_...

2012のメイキングまとめ(途中)

ZBrushの練習 手のモデリング

ZBrushで仮面ライダー3号を造る ベース編

ZBrushでゴジラ2001を作ってみる 身体のアタリを作る

PyMC:Pythonのベイズ統計ライブラリ

オーバーロードとオーバーライド

CGのためのディープラーニング

adskShaderSDK

RefineNet (Multi-Path Refinement Network):ディープラーニン...

Mask R-CNN:ディープラーニングによる一般物体検出・Instance Segmentatio...

Physics Forests:機械学習で流体シミュレーションを近似する

この連休でZBrushの スキルアップを…

Google Colaboratoryで遊ぶ準備

Mayaのレンダリング アトリビュート

IronPythonを使ってUnity上でPythonのコードを実行する

オープンソースのテクスチャマッピングシステム『Ptex』

ZBrushトレーニング

スターウォーズ エピソードVIIの予告編

VCG Library:C++のポリゴン操作ライブラリ

ROMOハッカソンに行ってきた

ZBrushでアヴァン・ガメラを作ってみる 頭頂部と首周りを作り込む

Point Cloud Utils:Pythonで3D点群・Meshを扱うライブラリ

OpenCVでカメラ画像から自己位置認識 (Visual Odometry)

Maya LTのQuick Rigを試す

OpenCV バージョン4がリリースされた!

Unityで画面タッチ・ジェスチャ入力を扱う無料Asset『TouchScript』

SONY製のニューラルネットワークライブラリ『NNabla』

ドラマ『ファーストクラス』のモーショングラフィックス

AndroidもopenGLも初心者さ (でもJavaは知ってるよ)

『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』のVFXブレイクダウン

OpenCV 3.1のsfmモジュールのビルド再び

「ベンジャミン·バトン数奇な人生」でどうやってCGの顔を作ったのか

OpenGVのライブラリ構成

OpenCVの顔検出過程を可視化した動画

Pythonの自然言語処理ライブラリ『NLTK(Natural Language Toolkit)』

ZBrushで仮面ライダー3号を造る 仮面編 DynaMesh

Photo Bash:複数の写真を組み合わせて1枚のイラストを制作する

コメント