これは驚いた。
このULTRAMAN_n/aというタイトルの動画、クオリティの高さもそうなんだけど、円谷プロダクションが公式に世に送り出したものだというのが驚き。↓
近年のウルトラマン作品のような商業(玩具ビジネス)の縛りがほとんど見られないキャラクターデザインで、まるでファンムービーのように、原典(初代ウルトラマン)のテイストから忠実(?)に現代的解釈・ディティールアップされた映像になっている。
このクオリティがファンムービーだったら驚くけど、商業的なものを度外視したような方向性がファンムービーっぽく感じられるのです。このクオリティで毎週テレビ放送なんて到底無理そうな、良い意味で熱のこもったファンムービーっぽい感じ。(映画だとしも国産じゃ無理な作り方だと思う)
というかこれ、万人受けしなさそう(笑)
もともと、ウルトラマン全盛期の円谷プロダクションは、採算度外視の特撮クオリティが大きな特長だったのだけど、経営破綻して以降の円谷プロダクションは、割と堅実な商業路線を歩んでいた印象。それがこんなステキな暴走(?)してくれるのがちょっと不思議に感じた。いや、うれしいんですけどね。
経営破綻までの話はこちらの書籍が詳しい。↓
この動画について、まだ円谷プロダクションは何も語っていないけど、何はともあれ、この動画のウルトラマンのデザインについて語るよ!
ウルトラマンのデザイン
これはもう、誰がどう見ても初代ウルトラマン(特にAタイプ)をベースにリファインしたデザインだよね。初代ウルトラマンのデザインはご存じ成田亨。先日「美の巨人たち」でも「MANの立像」が取り上げられていたね。
ウルトラマンのデザインの基本は抽象化。ウルトラマンの顔は人間の顔を抽象化した、仏像(弥勒菩薩とよく言われます)のような口元をしている。ウルトラマンのスーツの頭部はシンプルなようで絶妙な造形で、人間の顔の要素が揃っていたりする。
今回の動画では、一度抽象化された顔に、人間の皮膚のディティールを再び乗せたようなデザインになっている。Aタイプマスクにあったような口の開閉ギミックから発展して、顔の表情の変化まで表現されている。肌が金属光沢を持っていながら、人間の皮膚のような、そしてその下に筋肉があるかのような、CGならではのビジュアルだ。腕のアップだと血管の筋みたいなのも見える。
体型も、ウルトラマン番組後期のCタイプのような、詰め物をしたマッシブなものではなく、番組開始当初のAタイプのようなスラッとした細身を強調したものになっている。初代ウルトラマンの中に入っていた古谷敏さんは細身の長身で、ウルトラQでもケムール人やラゴンなど、中の人の体型が大きく影響するデザインのキャラクターを演じた方。特にケムール人なんかは、彼の体型でなければあの佇まい表現できなかっただろう。
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怪獣のデザイン
渋谷の地下から登場する怪獣は、四足歩行にアレンジされてるけど、元は変身怪獣ザラガスっぽいですね。登場したのは第2形態かな?
ここ数年、フルCGでの怪獣の表現はだいぶ見えてきている感じ。「クリーチャー」ではなく、あくまで「怪獣」としての造形表現がCGの動きの自由度と良いバランスだ。着ぐるみの怪獣独特の「固さ」を思わせる皮膚表現と、電飾風の発光部分のムラに怪獣愛を感じる。
成田亨デザインについてのウンチクは以下の書籍から。↓
特撮映像表現
やっぱり日本の特撮文化の延長だなぁ、と思うところがいくつか。まず、怪獣出現のカット。もう、ケレンに満ちている(笑)
そして、ウルトラマンの足元をなめて見上げるカット。何か、ミニチュアセットにしか見えない構図。ひょっとしてレンズを似せている?
ハリウッドで制作された怪獣映画であるパシフィックリムやゴジラ(2014)ではあまり描かれなかった「昼間に出現するフルCGの怪獣」というシチュエーションがウルトラマンというモチーフにぴったりはまっているように見える。ウルトラマンと怪獣の巨大感がダイレクトに伝わるのと、ギラギラした太陽による反射がウルトラマンの銀色のボディに映える。
ウルトラマンのフィギュア
発売されているウルトラマンのフィギュアは、基本的に撮影用スーツを再現したもので、追及しているリアリティは、テレビで活躍していたウルトラマンそのものの、古谷さんの立ち姿やスーツのシワ。まあ、当然なんですけど。
テレビ放送が始まったウルトラマンX
テレビ放送のウルトラマン列伝の方は、新作「ウルトラマンX」が始まったばかり。
ハイターゲット向けはマンガだけかと思ったけど、それとは少し違うターゲット層に向けた映像作品の展開もあるのだろうか。
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