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シン・ゴジラ第四形態の造形

先日、CGのメイキング動画が公開され、映画に登場するCGのゴジラの全身像をじっくり見れるようになった。



こういうCGのゴジラのターンテーブル的な動画は原型師の皆さんにとって、最高の資料だと思う。

シン・ゴジラの雛型、CG、そして雛型のレプリカの造形について、ちょっと前にタナカケンイチさんが以下のようなツイートをしていた。



このツイートを見て、オイラもそれぞれの違いがちょっと気になってきた。



ホビージャパン10月号の竹谷隆之氏インタビュー記事によると、竹谷氏が映画「シン・ゴジラ」のために手がけたゴジラ第四形態の造形物は以下の6つらしい。

  1. 形状検討用の1号雛型
  2. カラーリング検討用の2号雛型
  3. 目、後頭部の棘、首の肉盛りを修正した上半身雛型
  4. 口を開けた上半身雛型
  5. 演出検討用のスポンジ製ふにゃふにゃ人形
  6. ラストカット用の尻尾の先

上記のうち、1~4はその姿が公開されている。
1, 2は実物の展示、3, 4は公式記録集「ジ・アート・オブ・シン・ゴジラ」のページ見本に写真が載っていた。

それらに加えて、1号雛型に対しての庵野総監督からのコメントを反映した造形物が、雛型レプリカの原型ということのようだ。あくまで監督のコメントを反映したもので、劇中に登場するCGモデルに近づけたわけではなさそう。
レプリカ商品は1号雛型風塗装のレジン版と、2号雛型風塗装のソフビ版の2種類あるけど、おそらく原型は同一のもの。

形状検討用の1号雛型

1号雛型は何度か展示される機会があったけど、ドコモラウンジの展示が1番見やすかったな。




カラーリング検討用の2号雛型

2号雛型も何度か展示されている。








目、後頭部の棘、首の肉盛りを修正した上半身雛型

こちらはまだ1度も展示されていない上半身雛型。


口を開けた上半身雛型

こちらも展示されたことがない口開け雛型。



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レジンキャスト製雛型レプリカ(1号雛型仕様)

こちらは夏のワンフェスで1度展示された。






ソフトビニール製雛型レプリカ(2号雛型仕様)

ソフビ製の雛型レプリカについては、まだレジン製の塗装見本しか公開されていないので、実際にどこまで造形が再現されるのかは不明。







映画に登場するCGモデル

ちょっとおまけで、映画に登場するCGモデルについて。



映画に出てくるCGモデルは、1号雛型のスキャンデータをベースに、CG上でデザインの微修正や、スキャンでは拾えなかった表面のディティールや欠けた穴の修復が行われている。



おそらく、ZBrush上で表面のディティールを入れ直す過程で、スキャン元の雛形以上の情報密度の造形になったんだと思う。眼球のサイズも、雛型のバランスに比べてCGモデルの方は少し小さくなってるよね?
追記:公式記録集「ジ・アート・オブ・シン・ゴジラ」によると、CGデータ上でもデザインの修正が続いたらしい。(眼球のサイズもそこで小さく修正された)





雛型の造形と劇中のCGゴジラを見比べると、情報密度だけでなく、その独特の立ち姿勢でかなり印象が違って見えている気がする。雛型の方はやや前傾姿勢で1歩前へ踏み出したポーズに造形されているけど、映画に登場するゴジラはかなり背筋(?)を伸ばした直立姿勢をしている。
歩く際も、上半身がほとんどブレずに姿勢を保っていて、雛型のポーズよりも足の踏ん張り感が印象的。これが野村萬斎の動きなのか。手のひらを上に向けるポーズが良く真似されてるけど、1番の特徴はこの重心移動だと思う。





直立姿勢で顔がやや下向きの視線なので、下あごが少し首に埋まる感じになって、首の太さ・長さが違って見える。そういえばGMKも仁王立ち姿勢で首がこんな感じになってたな。ギャレゴジも姿勢によって首まわりが太っちょに見えたりしてた。



従来から怪獣デザインの課題として、肉食恐竜みたいな厚くガッシリとした下あごだと、人間のように直立姿勢にした場合にアゴが首と干渉して可動範囲がかなり狭くなってしまう問題があったけど、シン・ゴジラはこの姿勢でほとんど口動かさなかったからまるで気にならなかったな。咆哮やビームの時は姿勢が大きく変わってたし。あれは動と静のメリハリだったのかも。


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