午前十時の映画祭で1957年公開の東宝映画「地球防衛軍」の4Kデジタルリマスター版の上映を観てきた。
地球防衛軍
解説
東宝特撮初のカラー、スコープサイズによるSFスペクタクル大作。1950年代にはハリウッドでも『宇宙戦争』『宇宙水爆戦』『禁断の惑星』など、カラーSFの名作が生まれたが、それらと比較しても円谷特撮の面白さと興奮は今も圧倒的。宇宙からの侵略者と防衛軍の超兵器対決を、伊福部昭の音楽が高らかに盛り上げる。
物語
富士山麓で奇怪な山火事と山崩れが発生。調査に向かった渥美(佐原健二)の前にロボット怪獣モゲラが姿を現した。モゲラ出現が異星人の仕業と推測した安達博士(志村喬)と渥美ら一行は、空飛ぶ円盤が頻繁に目撃されているという現地に到着。すると地表を突き破り、突如巨大ドームが姿を現した。ドームに身を隠していたミステリアンと名乗る宇宙人は、ドームから半径3キロの土地の割譲と地球人女性との結婚の自由を要求してくるがーー。
こぼれ話
この作品にはさまざまな超兵器が登場する。α(アルファ)号とβ(ベータ)号は、垂直離着陸能力を持つ空中戦艦。機首先端には熱線砲が装備され、ミステリアン・ドームからの破壊光線をはじき返すマーカライト塗装が施されている。輸送用3段式ロケット、マーカライトジャイロによって目的地まで空輸されるマーカライト・ファープは、直径200メートルのパラボラ型光線兵器。空想科学もののイラストで人気を博した画家・小松崎茂がデザインした。
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昨年4Kデジタルリマスター版が上映された1956年公開の映画「空の大怪獣ラドン」の翌年に公開された映画だ。東宝特撮映画の4Kデジタルリマスター上映が毎年のイベントとして定着しつつある。
モゲラが出てくる点ではこれも怪獣映画と呼べるのだろうか。
「地球防衛軍」は監督:本多猪四郎、特技監督:円谷英二、音楽:伊福部昭で、「ゴジラ」や「空の大怪獣ラドン」と同じ布陣で制作され、出演者も東宝特撮映画でお馴染みの顔ばかりだが、本作に登場したモゲラはゴジラやラドン、モスラと違い東宝のスター怪獣にならず、「地球防衛軍」はシリーズ作品に位置付けられることがなかった。
1994年公開の「ゴジラVSスペースゴジラ」でモゲラがリニューアルされ対ゴジラ兵器 Mobile Operation Godzilla Expert Robot Aero-typeとして登場したものの、それをきっかけに当時の子供が「地球防衛軍」を鑑賞する機会はなかったと思う。
レンタルビデオの時代にはお店に並んでいることの方が珍しい作品で、オイラが「地球防衛軍」を初鑑賞したのは配信時代になってからだった。
作品を鑑賞するはるか以前に、伊福部昭の音楽集でテーマ曲は知っていた。
感想
案外、クライマックスの光学合成による戦闘シーンよりも、冒頭・中盤の炎や水の特撮のスケール感に圧倒された。後の特撮映画作品から考えてもかなり贅沢なミニチュア特撮で、着ぐるみ怪獣が登場しないシーンだからこそミニチュアの縮尺の制約もなくかなり大掛かりな仕掛けができたのだろうか。
劇中に「モゲラ」という呼称は登場しないし、ミステリアンによる侵略の要にもなっていないので、モゲラは結構影が薄い(笑) 割とすぐ活動不能になるし。
今回改めて鑑賞して、宇宙人の侵略による地球存亡の危機を描くスケールの大きい物語の割には、ロケーションが山間部だけで大都市が戦いの舞台にならないことに気づいた。
その分田舎の風景の中に宇宙人の建造物、ロボットがいる異物感が際立っていた。
https://www.phileweb.com/review/column/202308/04/2202.html
ところで、この作品で土屋嘉男が演じたミステリアンの口調が「ワレワレハ…」的な宇宙人口調の元祖ってホント?
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