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感じたことを言語化する

4月になって、また新しい年度が始まった。新しい元号も発表されて、なんだかんだで少し新たな気分。(自分自身は何も変わっていないのに)

日々感じたことをなるべく言葉にしておきたいと思いつつ、やろうとすると結構な労力がかかってしまう。
でもやらないとモヤモヤとしたものが頭に残り続ける。個人的なことを身近な誰かに相談するという習慣が無いので、気持ちの整理は自分でやるしかない。

昨年末に書いたように、2019年は定期的な振り返り記事で行動の見直しをメインに考えて、それとは別に不定期の「気づき(?)」みたいなことを記事にして言語化するよう努めよう。



言語化ということでちょっと思い出す昔話。

作文への苦手意識

昔から作文は好きじゃなかった。
高校生ぐらいまでは、何かの学校行事の度に感想を作文する機会が定期的にあったものの、その出来で明確に何か評価が下ることもなく、ただ「また面倒な時期が来た」ぐらいにしか思っていなかった。
高校卒業間際ぐらいから個人的に日記を書いていたことはあったが、それは作文というより日々の記録に近いもので、どこに行った、何をした、ぐらいのことしか記していない。

今でこそ、自分の考えや感じたことを言葉・文章にするスキルを鍛えなければならないと感じているが、それを強く意識するようになったのは就職活動の頃だった。
応募書類、つまり「エントリーシート」がちっとも書けなかったのだ。学生時代に打ち込んだこと、志望動機、入社してやってみたいこと、e.t.c.
会社によってはちょっとひねった独自の設問も追加され、とにかく沢山文章を書かなければ応募できなかった。(しかも手書き指定の会社もあった)

学業の成績が良かったわけでもなく、別に何か華やかな実績も無くて、そもそもエントリーシートに書けるようなことが自分には見当たらなかった。
当時読んだどこかの会社の採用ブログに「学生時代に打ち込んでいたことがあるなら、何か成果が出ていなければおかしくないですか?」とか書かれているのを読んで相当なダメージを受けたのを覚えている。

オイラが学生時代に打ち込んでいたことと言えば、趣味でやっていた中途半端な模型制作とCG制作ぐらいだった。他人に見せられるような完成度に到達する前に途中で頓挫してばかり。「打ち込んだ」とも言えない。
何もやり遂げたことのない、本当に空っぽな学生だった。実績も無いし、自分の意見も言葉にできない。

当然、苦し紛れに書いて応募したエントリーシートはほとんど書類選考で落ちた。運良く面接に進むことができても、言葉が出てこないし、どう振る舞ったら良いのか分からなかった。ぎこちない受け答えをカバーしようとして変に即答して墓穴を掘った。変な間ができないようにとにかく反射的に答えようとしていた。

今になって思えば、応募書類である程度の作文を要求するのは、言語化能力の低い人間をそこでふるい落とす意味もあったのだろうか。
採用された人達はどんな風に志望動機を書いていたのかな。お手本を知りたかった。(評価基準が分からなくてオイラには訓練できなかった)
SNSでtextコミュニケーションを日常的にやっている人が大多数な時代、要求される水準は昔よりも高いんじゃないだろうか。(当時のSNSはmixiか?)



以前も書いたように、オイラは就職活動に1度失敗している↓



その後、自分の考えを言葉・文章にしてアウトプットする訓練の必要性を感じてブログやTwitterを始めた。ブログは最初「はてなダイアリー」で始めたんだったな。(もうサービス終了しちゃった)
Twitterも使い始めてから10年ぐらい経つ。つまり、NegativeMindというハンドルネームとの付き合いもそれぐらいの年月が経っている。

仕事でも作文

会社員になった今でも、就職活動の頃の失敗がずっと頭の片隅にある。
何も言葉にできなかったこと、作文ができなかったこと、会話が成り立たなかったこと。言語化できないと何のチャンスも得られない。就活で直面した「コミュ力」の壁が今でも呪いのように付きまとっていて、脅迫されているような気分。

仕事でも半年に1回ぐらい、業務そのものだけでなく、自分自身について文章を書かなければならない機会がある。(評価とかそういうのに関わるやつですね)
ハッキリとした題目や例文があるわけではなく、自由作文で自分のこれまでのやら今後の決意表明みたいな文章を書くことになる。これに毎度毎度苦戦している。(せいぜい数百文字程度なのですが)

曖昧に何となくポジティブな意味の言葉を並べて雰囲気で誤魔化す手も無くはない。だが、個人的にはその手の言葉はノンカロリーワードというか、そういう表現にあまり意味があると思えない。そんな字数稼ぎをしても主張がぼやけるだけだ。

就職活動の頃にも、1度言葉にしておくとパワーが違うというか、後々の会話が明瞭になる感覚はあった。
自分の考えをハッキリさせたり、他人に伝える準備だと思って、その都度真剣に向き合って書いている。それを他人に笑われることもある。

借りた言葉を並べる

自分で言語化することを放棄して、誰かが言葉にしてくれたことだけをパズルのピースのように扱う働き方もあると思う。
与えられた言葉で仕事を始め、与えられた言葉で仕事を完結させれば、コミュニケーションの齟齬も起こらず、スムーズでストレスも少ないはずだ。



感じたことや思考の対象となる概念みたいなものを言葉にする労力は、プログラミングしている際のちょっとした変数や関数に適切な名前を付ける労力とよく似ている。
プログラミングでも、スクラッチせずに既存のライブラリの関数や引数名をそのまま使えば、言語化の労力はそれほどかからない。すでに誰かが名前をつけた概念を利用するだけで済む。

しかし、借りた言葉をただ並べ替えて運用しているだけでは、世界がぼやけたままな過ごしているような気がする。
ただライブラリの関数を叩くだけのコーディングを、はたして実装力と呼べるのか。アプリケーション開発のレイヤーだけで生きるなら問題無いのかもしれないが。

以前、英会話のグループレッスンを受けていた時、参加者同士の自己紹介でお互いに自分の仕事について軽く説明する機会があった。
だが、自分の仕事を聞かれても、「〇〇をするのが私の仕事です」みたいにちゃんと役割を説明できる人は少ない。大抵は自分の所属部署名や職種で答えてしまう。(もちろん英訳して)
英語だから上手く話せないというのももちろんあったと思うが、日本語でも自分の役割を認識して言葉で説明できる人はそれほど多くないと思う。


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書き方?まとめ方?

模型やCG制作の作業記録のように何かしらの操作の時系列を軸に情報を書き記せる文章と違って、感じたことや自分の考えを文章にする際は情報の順序があっちこっちに飛びがちだ。
オイラの思考が割と発散方向に進みがちということかもしれない。

そのせいか、オイラの文章の書き方は編集・推敲が中心だ。
頭に浮かんだ思考の断片を、言葉にでき次第書き出して、それを眺めながらちょいちょいと並び変えたり修正して繋げていくスタイル。クラスタリングに近いかも。
最初から文章が頭に浮かんでいて、それをただ書き留めていくようなスマートな方法とは程遠い。
お絵描きやモデリングでも似た感じで、一発描きのようなことはしない。というかできない。undoできるタイプのツールでないと何もアウトプットができない。
帰納的というか、アウトプットしながら対話的・探索的に少しずつ修正して研ぎ澄ましていくことしかできない。

こういう、自分の文章の書き方について自覚し始めたのはここ最近だ。
自分のやり方が分かったところで、ついでに思い出したことも脈絡無く書いてみるか。とりとめのないことを並べて、クラスタリングして無理矢理トピックごとに整理して並べてみよう。

仕事が退屈

最近の感じる気持ちのモヤモヤをちょっと整理したい。最近なんだか仕事が退屈なのだ。
仕事は1日の多くの時間を費やしていることなので、どうしたってその影響は大きい。仕事でやっていることが好きならたぶん何も感じないのだろうが、「つまらない」と感じるなら、それは「嫌い」に近いのではないか。
「できなくはないけど楽しくない」程度なので、強く「嫌い」と感じているわけじゃないのが微妙なところ。

昔から、何かを工夫したり追求するのは好きなので、少しでもそういう要素があればまあまあこなせるのである。だが、今の仕事はその先にあるものにまるで興味がわかない。

オイラは仕事において「やり遂げたい」という気持ちが強く働く傾向にあり、それはつまり、今やっている作業そのものよりも「何が出来上がるのか」というゴールに興味が向いているということだ。
そして今まで仕事ではそのゴールに執着して、何かしらの結果に収束させよう期限までに奮闘してきたつもり。
やたら結果を求める即物的な人間なのかもしれないけど。

ソフトウェア系は、60~70点ぐらいまでキャッチアップするのは比較的簡単で、その上を目指そうとすると難易度が指数関数的に上がっていく。「やり遂げる」となると、当然その難易度に踏み込むことになる。
ここ数年は仕事では70点ぐらいまで行ったところで分野を変える、みたいなことが続いていた。その時々で目指していたゴールには自分なりに納得していたけれど。

それが最近、全く興味がわかないゴールが設定されてしまった。
ザックリ言うと「コストカットのためのソフトウェア開発」なのだが、効率化する以前にそもそも価値がある対象と思えない。
仕事にかこつけて新しいガジェットやツールに触れるわけでもなく、いまいち楽しみを見出しにくい。

達成感のズレ

以前も少し書いたが、集団で働く上では「達成感」の測り方を揃えておかないとしんどい。



大抵の仕事には成果指標が存在するものだが、問題はそれが目標未達だった場合だ。
何故だか知らんが、未達なのに「精一杯やった」という疲労感や解放感で達成感を代替してしまうタイプの人が結構多いのである。何となく、このタイプは学生時代にスポーツに打ち込んでいて、特に大会実績の無かった人達に多い。(少ないサンプルなのでかなり偏見が入っている)

目標未達や失敗はお酒を飲んで忘れようとする。失敗は次への糧だと思うんだけどな。
その手の人達と一緒に働くと、時間と労力ばかりかかって、大した成果が上がらない「仕事ごっこ」になってしまう。第一印象だけは良い人達。

不思議なことに、自分の興味のあるジャンルの仕事にはろくでもない人間が幅を利かせている。

オイラは最終アウトプットで達成感を測るタイプの人間だけど、今まではその過程で自分なりに工夫できればそこそこやりがいを見出せていた。そうやって続けてしまったから気持ちのネジレが大きくなってしまったのかも。

追求したい

オイラの個人的な志向がオタク気質だから、何かを追求したくなる。
何かを繰り返しやっていると、オイラは手が速くなるより先に目が肥えてきてハードルを上げてしまう。そして観察眼はアウトプットによってより洗練されていく。
早めに終わるということはなく、タイムリミットまで時間いっぱい使って完成度を高めようとしてしまう。

理想の労働形態

集団で成果を上げるために分業するのは理にかなっているけど、その役割の分け方が時代に合わなくなってきているんじゃないかと思うこともある。
人間を職種ごとに分けて工場の機械のように配置するやり方は、素早い変化が求められる時代に適していないのではないか?

以前趣味でCEDECに行った時に少し感じたのだが、ゲーム産業はその構造上、ハードウェアやソフトウェアの進化に合わせて業務フローを変化させる必要があるため、時代遅れにならずに済んでいるのかもなぁ、と。
元々デベロッパーを雇わなければ商品開発が成り立たない産業なので、その辺の変化に敏感に適応していけるのだろう。

一方、ずっと同じやり方で何十年も続けてこれたがために硬直した産業・業界も存在する。そういう業界にとっては、急にAIの時代が来たように見えるだろう。
何十年と時が止まっていた業界を急に現代にアップデートするには大きな痛みが伴う。ずっと昔のやり方を続けてきた専門職が沢山ある。
産業が成熟し過ぎて瞬発力のある人達しか生き残れなかった世界は、変化への投資が疎かになる。

最近は「二毛作」みたいなやり方ができないだろうかと妄想している。
二毛作は1つの土地でシーズンによって別の作物を育てることだが、土地を人に置き換えて、同じ人がシーズンごとに別の仕事をするというのはどうだろう。
これに期待するのは人が別の仕事から「暗黙知を持ち帰る」という点。
SIerという業態が大きな産業になっているほど、業務をシステム化する需要は高い一方で「コレジャナイ」システムが完成する例が多い。多くの場合、ユーザー側の要求が開発者に上手く伝達されない。「コミュニケーション能力」と言ってしまえばそれまでかもしれないが、そもそも他人へ伝達することに無理があるのではないか。

そこでデベロッパーをシーズンごとにユーザー側へ回すような仕組みを…
書いてはみたけどさすがに無理があるか。「出向」が1番近いかも。
「複業」に期待されているのもこれに近いことだとは思う。人的に特徴量の抽出を行って、別の職場へ伝達するのだ。

言葉にするのにやっぱり時間がかかってしまった。

今のオイラの状態は一体何なんだろう。モラトリアム?
何も作れない人間になるのが怖いよ。


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