トイストーリーなどのフルCG長編アニメーションでおなじみのPixar社の社長であるエド・キャットムルさんの著書「ピクサー流 創造するちから」を読み終わった。こちらももちろん訳本で、原題は”Creativity, Inc.”

お正月休みにこっちの本を読み終わった流れで購入した書籍だ。↓

ええ、半年以上も経ちましたね。
いや、だってこの本400ページ以上もあるんだもん。(言い訳)
前回読んだ「メイキング・オブ・ピクサー 創造力をつくった人々」は外から見たPixar社史だとすると、こちらはPixarの中で当事者達が能動的に行った試行錯誤の記録といったところだろうか。
この書籍ではエド・キャットムルさん自身が歩んできた半生と、Pixarの経営で意識してきた「クリエイティビティ殺さない組織運営」について、直面した問題と、その都度取った行動、その効果を冷静に分析している。そして、それでもまだクリエイティブな会社運営の試行錯誤に終わりはないと考えるその姿勢がとても研究者らしい。(キャットムルさんは有名なCG技術の研究者でもあります)
それでいて、学者っぽい難解な語り口ではなく、その時直面した問題を様々な人の言葉を借りて例えながら、Pixarの目指す「クリエイティブな組織像」を運営するメンタルモデルを伝えようとしてる。
何と言うか、この書籍はオイラのような下っ端の雇われ人よりも、会社の経営者や管理職の方にこそおすすめな気がする。クリエイティブなインスピレーションは誰でも持っているけど、それを活かすも殺すも組織の運営にかかっているというのが本書の大きなメッセージ。じゃあクリエイティブな組織であり続けるためにPixarという会社はどんなことをしてきたのか、ということが具体的に記されている。
まあ、本書の理念に沿えば、それは経営者・管理職だけが解決策を考えるのではなく、社員全員が考え、解決に向けて取り組むべき問題なのだけど。
オイラの中で1番納得感があったのは、作品の完成度を高めるためにPixarで行われている「ブレイントラスト」と呼ばれる会議について、キャットムルさんは研究論文における査読のようなものと説明しているところ。荒削りな状態の作品に対して、他のスタッフが自由に意見を述べることができるこの会議では、その指摘は強制ではなく、どこをどう変えるかの判断は監督にゆだねられている。
作品作りに没頭している当人よりも、少し距離を置いた人間の方が現状の違和感には気づきやすい。だが、最良の解決策を見つけられるのはやはり当事者達ということ。
こういう、建設的なフィードバックを得る会議を運営できるって、結構すごいことだと思う。
ラジオ番組「鈴木敏夫のジブリ汗まみれ」の情報だと、Pixarに入社するには、大学だけでなく、高校も指定の学校を卒業していないといけないそうだ。アニメーションは専門職であるという考えからだろうか。そういう基礎教育を受けた人を集めることも組織風土を保つのに一役買ってるんだろうか。(あくまでアニメーターに限った話)
そういえば、Pixarと合併後のディズニー映画のタイトル(原題)がやたらとシンプルで抽象的なのはマーケティング部門の意見を反映した結果らしい。
「塔の上のラプンツェル」も「アナと雪の女王」も、原題はTangled(もつれ)とFrozen(凍りついた)で、タイトルに”プリンセス”と付くと女の子向けと思われてしまうかららしい。邦題も日本のマーケティング結果を反映したのものなのだろうか。
そして、意外だったのがスティーブ・ジョブズという人間についての話。スティーブ・ジョブズが傲慢で独裁的な人間だったというのはもう通説になっているけど、それは特に若い頃の印象らしい。後年スティーブ・ジョブズの人間性もかなり変化していったそうだ。
ページ数的に紙の書籍だと結構かさばるんで、Kindle版にしておけばよかったかな。↓

電子版で完読できたかどうかわからないけど。。。
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