東京オリンピックと案内表示

東京オリンピックをきっかけに看板の表記やピクトグラムデザインの国際化が進むという話。

東京オリンピックと言っても、2020年ではなく1964年の方の話。(オイラは生まれてないけど)
2年程前に、「サインシステム計画学: 公共空間と記号の体系」という書籍を買った。営団地下鉄(現在の東京メトロ)のサインシステムの整備を行った赤瀬達三氏の博士論文を基に書籍としてまとめたもの。

サインシステム計画学: 公共空間と記号の体系

その頃オイラは、仕事でクソなUIのシステム開発に幾つか関わり、UIやナビゲーションのためのデザイン思想に興味を持ち始めていた。そんな時期に、ちょうどこのブログ記事を読んだのが書籍購入のきっかけだった。↓
http://ushiroad.com/20131020/

サインシステムというのは平たく言えば駅などにある案内表示のことで、今では当然のように存在している営団地下鉄(東京メトロ)のそれを整備した本人による解説書がこれ。(案内表示のこと、というのはかなり乱暴な言い方で、本文中では、案内表示だけではなく建物の構造など環境全体をシステムとして捉えよと書いている)
博士論文がベースになっている本ということで、5500円もするのに難解で読めなかったらどうしようと思ったけど、読み易い本だった。しかも、工業デザイン、あるいはデザインそのものの基礎にも触れていて、お得感が高い。
私はそもそも物理的なタイピング速度が遅いし、vimやemacsといったイカしたエディタも操れないので、せめてこうやって知識を肥やしておかなければスーパーハッカーのような人間に罵倒、侮辱された時に罵り返す術が無いのである。

営団地下鉄、つまり現在の東京メトロの案内表示のデザイン・配置ポリシーは1964年の東京オリンピックがきっかけで整備されたものだという。



ここ最近、2020年の東京オリンピックを控え、高速道路や新幹線など、日本の近代交通網が1964年の東京オリンピックをきっかけに整備されたことを振り返る特集をTVでチラホラと見かけるようになった。(新国際競技場ってどうなるんでしょうね…)
その時スポットがあたるのは、建設や製造など、ハードウェアエンジニアリングの話ばかりだが、実は同じ時期に情報設計、言うなればソフトウェアの国際化も進んでいたらしい。

確かに、現在の東京メトロの案内表示はかなり整理されている。エスカレーターで駅のホームへ降りる際には、左右方向だけに抽象化された路線図が目に入り、自分が乗るべき車両がホームのどちら側に停車するのか分かるようになっている。また、人の進行方向に広告は一切貼られていない。
(JRは全然そんなことないですね…)

この書籍では、案内表示のポリシーを作り上げる過程が時代背景と共に記録されている。
後にもっと一般向けに理屈をかみ砕いて解説した書籍も出た↓

駅をデザインする (ちくま新書)

地下鉄など、鉄道網の案内表示は情報デザインの例として良く取り上げられる。オライリーから出ている「ビューティフルビジュアライゼーション (THEORY/IN/PRACTICE)」でも、ニューヨーク地下鉄の路線図のどの要素を抽象化し、どの要素を情報として残すべきか、再デザインの事例が紹介されていた。

ビューティフルビジュアライゼーション (THEORY/IN/PRACTICE)

情報を見える形にする技術」でもロンドンの地下鉄がでてきた気がする。(うろ覚え)

情報を見える形にする技術 [情報可視化概論]

技術が進歩しても、情報デザインは過去に学ぶことがたくさんあると思う。

関連記事

CLO:服飾デザインツール

ヒトデの骨格のような構造物を作成するシステム『KINEMAT...

重いコンテンツとゆるいコンテンツ

統計学に入門したい

プロダクトデザイン概論

ボールペンに変形するトランスフォーマー『TRANSFORME...

すてる英語学習本『ずるいえいご』

リニアアクチュエータ

パルクール(Parkour)

なぜ書店で販売しているのか謎な商品 メタルキットシリーズ

オープンソースハードウェア Arduino (アルドゥイーノ...

それぞれの媒質の屈折率

仮面ライダーあつめ

大人用変身ベルト『仮面ライダーディケイド ディケイドライバー...

HDDの中身を3Dで視覚化するフリーソフト「StepTree...

機械学習での「回帰」とは?

konashiのサンプルコードを動かしてみた

ドラマ『ファースト・クラス』のパラレルショートド­ラマ『ファ...

Unityからkonashiをコントロールする

PCの自作

Math Inspector:科学計算向けビジュアルプログラ...

Kinect for Windows V2のプレオーダー開始

サービスを成長させるための『グロースハック』という仕事

線画を遠近法で描く

趣味でCEDECに来ている者だ

『Geocities-izer』 どんなWebページも一昔前...

動き出す浮世絵展 TOKYO

大人の知識で玩具の改造

書籍『天才を殺す凡人』読了

書籍『クラッシャー上司 平気で部下を追い詰める人たち』読了

日米の働き方をコミカルに比較した動画

HTML5・WebGLベースのグラフィックスエンジン『Goo...

ZBrush キャラクター&クリーチャー

進撃のタカラトミー

小説『GODZILLA 怪獣黙示録』読了(ネタバレ無し)

小説『GODZILLA プロジェクト・メカゴジラ』読了(ネタ...

AR (Augmented Reality)とDR (Dim...

カメラ付きの空飛ぶリストバンドで自撮りする発明(ウェアラブル...

自分を育てる技術

CNN Explainer:畳み込みニューラルネットワーク可...

ドラマ『ファーストクラス』が始まった

サンプラー音源ツール『SampleTank』シリーズの最新フ...

コメント