午前十時の映画祭で1963年公開の東宝映画「海底軍艦」の4Kデジタルリマスター版の上映を観てきた。
海底軍艦
解説
地中・海中・空中を自在に駆け巡る万能戦艦「轟天号」の活躍を描く、東宝SFの代表作。日本SF作家の草分け、押川春浪が1900年に発表した小説を基に、オリジナル脚本で映画化された。巨大ドリルが偉容を誇る轟天号の試運転シーンは、円谷特撮を伊福部昭の重厚壮大な音楽が盛り上げ、観る者を興奮の絶頂へと誘う。
物語
カメラマンの旗中(高島忠夫)と助手の西部(藤木悠)は、ムウ帝国工作員による光國海運の楠見専務(上原謙)と秘書の神宮司真琴(藤山陽子)の誘拐を阻止した。後日、ムウ帝国から脅迫フィルムが届き、そこには1万2千年前に海底に沈んだムウ帝国が今なお強大な科学力で深海を支配している様子が映し出されていた。さらに真琴の父、神宮司大佐(田崎潤)が秘密裡に進める万能戦艦・轟天号の建造中止と、ムウの植民地だった地上の返還を要求していた。
こぼれ話
神宮寺大佐を演じた田崎潤(1913~85)は、特撮ファンには馴染み深い昭和の名脇役。黒澤作品から戦争映画、時代劇など、幅広いジャンルの作品に出演した。中でも『フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ』(66)などで演じた自衛隊の指揮官役は、怪獣に対して一歩も引かない堂々たる貫禄を見せ、観客に大きな安心感を与えた。『妖星ゴラス』にも隼号の艇長役で出演。NHKのクイズ番組「連想ゲーム」では回答時の大声が印象的。『乱』(85)が遺作となった。
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2021~2023年は午前十時の映画祭で東宝特撮映画の4Kリマスター枠が毎年あったのに、2024年は無かった気がする。そこはゴジラ・シアターが兼ねていたのだろうか。
オイラが初めて「海底軍艦」を見たのは動画配信時代になってから。映画館のスクリーンで鑑賞するのはもちろん初めて。
極秘裏に建造された万能潜水艦というと少し「海底二万里」を彷彿とさせるけど、本作は小説「海島冐險奇譚 海底軍艦」を一応原作として大きく改変した物語らしい。
本作は1962年の「キングコング対ゴジラ」の翌年の作品。主役コンビを演じているのが同じく高島忠夫と藤木悠で、掛け合いのテイストもほとんど同じだからまるで続編のようだ(笑)
「キングコング対ゴジラ」でも感じたが、外界から隔絶されたような孤島でもラジオの電波が入るものなのか?とか、この時代特有のツッコミどころはある。
本作は監督:本多猪四郎、特技監督:円谷英二、音楽:伊福部昭で「ゴジラ」と同じ布陣。この時代は東宝特撮映画が量産されているけど、同じメインスタッフで回していることを考えると結構な早撮り。同じスタッフ・キャストがほぼ同じメンバーで作っているからか、パターンというか型のようなものを感じる。
クライマックスの戦いがひと段落するとエピローグ的な描写が無く「終」の文字で一気に畳むのもこの時代のフォーマット。
海底軍艦 轟天号の試運転で、水面に浮上してきてそのまま空を飛び始めるのは結構驚く。架空戦記ものに超科学兵器が登場する展開はワクワクする。平成以降に架空戦記ものでこの手の超兵器が登場した映画は「ローレライ」ぐらいだろうか。
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