5月13日(金)に映画「シン・ウルトラマン」が公開され、鑑賞してからしばらく時間が経った。
シン・ウルトラマン
公開初日の5月13日(金)は仕事を休めなかったので、仕事帰りにIMAXの夜の上映回で鑑賞。後日別のIMAXシアター、通常のシアターで鑑賞し、現時点で計3回観た。
上映設備の比較で言うと、やはりIMAXレーザー/GTテクノロジーが最高だった。映像だけでなく、音響の面でもかなり良い体験ができた。逆に、通常のシアターの音響だと音楽とセリフが混ざって聞き取りにくく感じた。
エヴァほど注目されていなかったからか、公開初日の座席予約もさほど苦労しなかった。
公開前は世間的にあまり話題にならないのは「シン・ゴジラ」の時と同様だな。
特典付きの主題歌CD(ウルトラ盤)を予約していたものの発売日が少し先だったので、映画公開日に先行配信された「M八七」をダウンロード購入してしまった。
映画を観る前に何度もリピート再生していた。
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公開前のワクワクとソワソワ
公開日が近づくにつれ、ソワソワして仕事が手につかなかった。公開間近に情報が少しずつ解禁されるワクワク感に、「シン・ゴジラ」の頃を思い出した。
https://www.youtube.com/watch?v=MDZ_TljRi1s
シン・ゴジラの時のような夜中の最速上映を期待していたが、そういう特別なイベントは何も開催されなかったな。
夜中の上映を見てから仕事に行く段取りを色々脳内シミュレーションしてたのに(笑)
感想
正直、1回目の鑑賞では上手く受け止められず、2回目からやっと楽しむことができた。
https://www.youtube.com/watch?v=3Z_DpUtryhk
1回目の鑑賞中は「今の時代に、ここまで忠実に初代ウルトラマンをやるのか」という戸惑いと恥ずかしさがあった。今の時代にリメイクするなら洗練させる過程で切り捨てられそうな要素が驚くほど丁寧に拾われていた。その歪さこそが「ウルトラマン」の魅力なのだと。
アバンタイトルも含め「初代ウルトラマン」を追体験できるよう原典の展開を忠実になぞりつつ、キャラクターの行動の動機はかなり丁寧に描かれている。突飛な展開はそのままに、昭和作品にありがちだったツッコミどころは念入りに潰されている印象。
オイラのように何度もウルトラマンを見てきた人間にとってもはや常識で古臭い描写に思える部分も「ウルトラマン」に全く触れずに育った人達にとってはむしろ新鮮に映るかもしれない。原典に忠実だからこそ、ファンにとっては登場するキャラクターを知るだけで展開のネタバレになってしまうが、一般的にはあまりネタバレ要素の少ない作品だったかも。
特撮ファンは個々のディティールから引用元の記憶が蘇ってしまうので、ストーリー展開に没頭しづらいデメリットを感じた。ストーリー展開の文脈とは違う情報が横入りしてくる。
ウルトラマン未体験の人にウルトラマンの魅力を伝える作りの本作を見て、「大怪獣のあとしまつ」がウルトラマンを知っている前提でそれを茶化す作りだったのだと実感。
最初に公開された特報の雰囲気や主要登場人物達の所属組織の設定からなんとなく「シン・ゴジラ」的なポリティカルフィクションを想像していたが、かなり毛色が違った。
https://www.youtube.com/watch?v=Jxq03E2-lqM
「シン・ゴジラ」からリアリティレベルをかなり下げ、怪獣が頻繁に出現する架空の日本を舞台とした空想劇だ。「公開当時の観客が味わった感覚を追体験させる」という点では「シン・ゴジラ」に通ずるものがあり、その精神こそが「シン」のコンセプトなのだろう。
最初の「ウルトラマン」という番組が成立するために前番組「ウルトラQ」が不可欠だったように、「ウルトラマン」が登場する本作の世界観への導入には現実からリアリティレベルを大きくジャンプする勢いが必要だ。その点、本作の導入はファンサービスに溢れていた。(ファン以外があの勢いについてこれたのかは少し心配だが)
速いセリフ回し・カット割り、オリジナルの音楽・SEの使用は少し「シン・ゴジラ」の物まねのようにも感じられるが、このバランスが昭和の空想を現代の作品として成立させる発明だったのかもな。
2時間の映画でありながらも、昭和の30分番組のようなサッパリとした後味。これこそウルトラマンのテイストなのかも。
特撮ファンとしては「平成ガメラの樋口真嗣」に斬新な画作りを期待してしまうけど、本作では初代ウルトラマンの雰囲気を感じさせるノスタルジックな画作りが徹底されていた気がする。怪獣との格闘シーンのロケーションが建物の少ない山間部だったり、市街地戦でも原典を逸脱しない程度に画作りが抑えられていた印象。(予算の都合もあったのだろうか?)
本作では「シン・ゴジラ」にも増して沢山のカメラを同時に回して撮影されたようで、会話中も速いテンポでカットが切り替わる。オイラはIMAXで鑑賞したのもあり、iPhoneで撮影したと思われるカットの画質の悪さがかなり気になった。前後のカットとの画質の落差が大きくて。
いわゆる実相寺昭雄風なトリッキーなアングルが多い割に、基本的に人物の顔のアップばかりが続いて引きの画があまり無かった。これも予算の都合なのだろうか。「シン・ゴジラ」と比べると、屋外ロケの引きの画が極端に少なく閉塞感がある。
https://blog.adobe.com/jp/publish/2022/06/08/cc-video-premierepro-interview-shin-ultraman
エンディングのスタッフロールからも分かる通り、「シン・ゴジラ」よりも予算規模は少ないみたい。劇場で先行販売された「シン・ウルトラマン デザインワークス」を合わせて読むと予算管理の苦労が偲ばれる。スカルプターズ07の竹谷隆之氏の記事によると、禍威獣のデザイン過程で検討用造形物を作るのが途中で時間切れとなり、2Dのイラストレーションで最終決定に至ったという。劇中の禍威獣がなんとなくツルンとしたアニメチックなものに見えるのはそういった経緯もあったようだ。シン・ゴジラとはプロセスが違う。
『シン・ウルトラマン デザインワークス』劇場先行発売記念 特別公開 ウルトラマン デザイン集 追加ページ公開
邦画では庵野秀明クラスのクリエイターでも予算を集めるのが難しい世知辛さも感じる。
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元ネタエピソード
「シン・ウルトラマン」の元ネタとなったエピソードは原典の第3話「科特隊出撃せよ」、第9話「電光石火作戦」、第18話「遊星から来た兄弟」、第33話「禁じられた言葉」、第39話「さらばウルトラマン」だ。
導入の「ウルトラQ」パートに言及するとさらに多いのですが。
登場キャラクターについて図鑑的に引用しやすいコンテンツが整備されているのもウルトラシリーズの大きな特徴だよな↓
元ネタエピソードの選定について、DVD「ウルトラの揺り籠」に特典で収録された座談会が「シン・ウルトラマン」の企画会議だったのではないかと思えてきた↓
ブレない制作陣だ。
シン・ウルトラファイト
「シン・ウルトラマン」のムビチケ購入特典のSPを含む「シン・ウルトラファイト」で戦闘シーンを見返せるのが良いですね。Uureal Engineで新規制作されたSP3のこだわりのテイストに笑ってしまった。フルCGで取っ組み合いなんて手間かかってるはずなのに、わざわざウルトラファイトのチープなテイストを狙っているのがツボ。風景のスケール感が空き地でのロケっぽくしてある(笑)
シン・ウルトラファイトSP1 / 「ネロンガ 出たり消えたり」(制作No.1)
シン・ウルトラファイトSP2 / 「ガボラ 死の正拳突き」(制作No.2)
シン・ウルトラファイト TI版1 / 「気をつけろ! メフィラスの罠」(制作No.3)
シン・ウルトラファイトSP3 / 「集まれ! 大峡谷の決斗者」(制作No.4)
シン・ウルトラファイト TI版2 / 「閃光の無観客試合」(制作No.5)
シン・ウルトラファイト TI版3 / 「遊星は燃えてゐるか」(制作No.6)
シン・ウルトラファイト TI版4 / 「6次元無頼」(制作No.7)
シン・ウルトラファイト TI版5 / 「白砂青松 修羅シュシュシュ/ゼットン 火の車/潮騒の鎮魂歌」(制作No.0/8/9)
https://www.businessinsider.jp/post-255919
https://www.unrealengine.com/ja/spotlights/shin-ultra-fight-morphs-70s-style-monster-suits-with-real-time-tools
初代ウルトラマンのリブート
初代ウルトラマンのリブート作は過去にも何度かあったわけですが、それらの積み重ねがあるからこそ「シン・ウルトラマン」で初代ウルトラマンを真正面から扱うことができた気もする。
「シン・ウルトラマン」観賞後にこれらのリブート作品を振り返ると、最初の「ウルトラマン」の「歪さ」が取り除かれ、リメイクされた時代の「カッコよさ」で磨かれた作品と言えるな。
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