映画『オデッセイ』を観てきた

映画「オデッセイ」を観てきた。(立て続けに映画観てますね)



原題は”The Martian“で、同名の小説が原作。この小説の日本語版タイトルは「火星の人」で、こっちの方が原題に近い。

火星の人〔新版〕(上) (ハヤカワ文庫SF) 火星の人〔新版〕(下) (ハヤカワ文庫SF)

Twitterで「火星DASH村」なんて言われているのを見て、面白そうなので観に行った。


現実と地続きの世界観

本作はSFではあるが、かなり近い未来を描いていて、現代との違いはNASAの宇宙開発が少しだけ進んでいるぐらい。地球上の人間の暮らし方は我々の現実とほとんど同じで、NASAが火星での有人探索を始めてまだ数年という時代。
なので、作中の科学技術でできること・できないことは我々の常識とほぼ一致している。ここが舞台設定の大きなポイント。本作に登場するNASAという組織や宇宙飛行士は、我々の知っているものと同一のイメージだ。



本作の大きな魅力となる、直面している大きな問題を小さな問題へと分解し、科学の力で1つ1つ解決していくプロセスの描写は、現実の科学と地続きであるからこそ描けるドラマだ。実験し、失敗し、対策を考え、また実験する。
本作の主人公を「超ポジティブ男」と評する人もいるようだが、科学の発展プロセスとはそういうものだと思う。(主人公がポジティブなのは認めるけど)

超未来を描いたSFだと、このプロセスを丁寧に描くことはできず、奇跡や根性に偏った描写になりがち。登場する夢のような超未来テクノロジーを細かく分解して描くのはシナリオの作成上困難だからだ。SF考証をやたらと詳細に詰めなければならなくなるため、そこそこ粗い粒度で切り抜けるしかない。

エキスパート達の応用力

その点、本作では科学技術に関するウソがほとんど無いので、ちょっとしたドキュメンタリーのような感覚で楽しむことができる。(そこが画的に地味と言えば地味ですが)

劇中のNASAで働く様々な分野のエキスパート達の専門知識は現実と地続きの本物。この映画では、主人公に限らず、各分野のエキスパート達が各々の専門知識を応用して問題を解決していく様が描かれる。
個人的には、この応用力の描写が一種のカタルシスだと思うのだが、ここは感想が分かれるかもしれない。この手の描写がピンとこない人には全くおススメできない映画なのだ。
何度か失敗しつつも、着実に1つ1つ組み立てていくプロセスを楽しめる人向けの映画だ。

「オデッセイ」という邦題

実は「オデッセイ」という映画タイトルは日本だけらしいです。



「オデッセイ」という響きが何となくリドリー・スコット感のある仰々しさではあるけど、タイトルを一般的に意味が知れ渡っているわけでもない言葉に置き換えるのはローカライズとしていかがなものか。ローカライズってのは文化のギャップを緩和して、映画の面白さが伝わりやすくするためにやるわけで、タイトルを「オデッセイ」に変えることでより多くの日本人が映画に興味を持つとは思えないんだけど。

その他

本作は科学的なウソがほとんど無いからこそ面白いのだが、実は1つ大きなウソがある。物語が始まるきっかけとなる事故の描写だ。
地球よりも大気圧が低い火星では、たとえ嵐が起こっても本作のような大惨事にはならないのだ。まあ、そこは物語が始まるきっかけだけなので目をつぶる。ひょっとして、火星の重力が地球より小さい描写が省略されたのもそこの違和感に目を向けさせないためだろうか。

原作小説を映画化する上で原作から省略・変更されている点については以下の記事が詳しい↓
http://www.jifu-labo.net/2016/02/explain_martian/

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