クリストファー・ノーラン版のバットマンシリーズでは、ダークナイトが傑作として挙げられることが多いし、オイラももちろんダークナイト大好き。
ただ、見返している頻度はたぶんバットマンビギンズの方が上。何となく作業用BGMとしても流したりしてる。初見は映画館だったけど、もう10年近くも前の映画か。
この映画の主人公 ブルース・ウェインがバットマンを作り上げていく過程が好きなのです。
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最近は、アメコミヒーローの実写映画が増えてるから、主人公がヒーローになっていくまでの過程が映像で描かれる機会は多い。スパイダーマンもアイアンマンも、シリーズの1作目は主人公がヒーローになるまでの過程はちゃんと描かれている。スパイダーマンは1作目が2回もあったスパイダーマンは1作目が2回もあったし、ちょっと陰鬱なスーパーマンでもクラーク・ケントがスーパーマンになる過程が描かれたね。
もちろん、どの作品も映画として描きたいヒーローのビジュアルから逆算した設定で描かれるわけだけど、その中でも、バットマンビギンズは別格な印象を受ける。主人公ブルース・ウェインがバットマンになるまでの心境・過程がとても丁寧に、現実的に描かれていて、ちょっとしたスタートアップ企業を見ているような感覚になる。
バットマンビギンズでは、ブルースが大金持ちの素性を隠して、全くの無名から「バットマン」というブランドを作り上げていく過程が描かれている。
映画の前半、影の軍団での修行中に戦いの中で敵に恐怖を与える心理的トリックを説かれるブルース。その記憶が、後に自分の恐怖の対象である蝙蝠をモチーフに「バットマン」というシンボルを作り上げる。日の目を見なかったウェイン産業の製品を材料に地下室で蝙蝠のスーツを手作業で仕上げていく様は、ガレージで試作品を作って世に広めていくMakersとかスタートアップのようだな、と。
大金持ちだから資金力はあるとはいえ、ブルースと執事のアルフレットのたった2人で「バットマン」そして「大富豪のプレイボーイ ブルース・ウェイン」というブランドを作り上げていく。そのブランド戦略のテンポ感が見ていて気持ち良い。
ブランド戦略によって、超能力を持たない生身の人間であるバットマンが、犯罪者達の恐れる最強のダークヒーローとなる。(もちろんとんでもない装備を持ってはいるけど。)
バットマンとして初めて犯罪を阻止し、マフィアのボスの胸ぐらを掴んで放つセリフ”I’m Batman“とともに、観客はここで初めてついに完成した「バットマン」ブランドの姿を見ることになる。声も普段のブルースと変えて「バットマンボイス」にしているのが良いね。(設定上はボイスチェンジャーを使っているということらしい)
この映画の最初の1時間ぐらいが、バットマンブランド誕生までのお話で、オイラはこことバットモービル登場のあたりまでがお気に入り。バットモービルで暴れるのもブランディングと言えなくもない。(アルフレッドには嫌がられるけど)
実は、オイラのハンドルネーム”NegativeMind”やシンプルなラクガキみたいなアイコンはバットマンビギンズをヒントにしていたりする。全く無名で実績のない自分が、ネット上で他の人とやり取りして情報収集するためには、所属や本名を晒しても全く無意味で、余計な情報をそぎ落とした、記憶しやすいアイコンになる必要があった。自分の性格をそのまま表すような、象徴的なハンドルネームと、情報量の少ないアイコン画像で、とにかくネット上での露出を増やすことにした。就職してからネット上で誰かとやり取りすることはほとんどなくなったけど、アイコンは当時から変えないようにしている。このブランディングが上手くいっているかはよくわからないけど。
さて、バットマンビギンズの話に戻ると、名作と呼び声の高い続編のダークナイトは、派手に立ち上げてしまったブランドの維持に疲弊していく話とも言える。(やや曲解ではある)
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