午前十時の映画祭で1962年公開の東宝映画「妖星ゴラス」の4Kデジタルリマスター版の上映を観てきた。
妖星ゴラス
解説
燃える妖星が地球に急接近!人類滅亡の危機を描くSFパニック・スペクタクル。同じ題材を扱った『ディープ・インパクト』(98)や『アルマゲドン』(98)とこの作品が異なる点は、衝突を回避するために地球自体の軌道を変えるという壮大なアイディア。南極大陸に建設される地球推進用ジェットパイプのミニチュア撮影は、特撮美術の粋を極めた名場面。
物語
土星探査に向かっていた宇宙船・隼号は、途中、黒色矮星ゴラスの観測に赴いたが、その強大な引力に引き寄せられて爆散、乗組員全員が殉死する。隼号から送られたデータによると、ゴラスが今の進路のまま進めば2年半後に地球に衝突するという。事態を重く見た宇宙物理学会の田沢博士(池部良)と河野博士(上原謙)の働きかけにより、全世界の科学者が一堂に会し、衝突回避のため地球を40万キロ移動させ、軌道を変える計画が立案された。
こぼれ話
園田智子役の白川由美さん(1936~2016)は、これまで「午前十時の映画祭」でも上映された『空の大怪獣ラドン』(56)、『地球防衛軍』(57)でもヒロインを務めた、特撮ファンお馴染みのクール・ビューティ。本作の前年には、今回上映される小津監督『小早川家の秋』(61)にも出演した。活動の場をTVに移してからは、「家族ゲーム」(83)をはじめ、「ハケンの品格」(07)、「家政婦のミタ」(11)、「ドクターX~外科医・大門未知子~」(13)など、晩年まで活躍した。
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今年の午前十時の映画祭は「海底軍艦」から連続して東宝特撮映画の4Kリマスター版が上映されている。(厳密にはグループ分けされて同時期のスケジュール)
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「海底軍艦」と同様に、「妖星ゴラス」もオイラが初めて見たのは動画配信で、映画館のスクリーンで鑑賞するのは初めてだ。
これまた本多猪四郎と円谷英二コンビの作品なので早撮りなのかと思ったら、Wikipediaによると構想3年、制作費3億8,000万円、撮影日数300日の大作らしい(本当か?)
興行的にはあまり振るわなかったらしいが、超兵器や怪獣など、作品のシンボルになるようなキャラクター性が薄かった故だろうか。星である「ゴラス」にキャラクター性を見出すのもなかなか難しいし。
撮影に使用されたゴラスの模型は現存していて、最近だと「井上泰幸展」で展示されていたな。
近未来(?)を舞台とした世界観で、宇宙飛行士がバスの運転手程度に一般的な職業になり始めていたり、テレビ電話(モノクロ画面)が使われていたり、1960年代当時に想像された未来社会が描かれている。
例に漏れず、この時代の東宝特撮映画のメインキャストはお馴染みのメンバーで、ちょっと劇団のようにも感じる。五社協定の時代というのも関係あるんだろうか。
水野久美の顔を見ていて、今なら浜辺美波がまさにこの系統の顔だと思った。東宝女優顔というか、スクリーン映えする顔。後に「ウルトラマン」でイデ隊員を演じる二瓶正也は本作が特撮作品初出演。
特撮ファンに有名なエピソードとして、本作に(唐突に)登場する怪獣マグマの着ぐるみは後に「ウルトラQ」のトドラに流用されてたり、本作に登場するVTOL機の木型が「ウルトラマン」のジェットビートルに流用されたり、
本作の宇宙遊泳のシーンで使用された小道具は「ウルトラマン」でアラシ隊員が使うスパイダーショットに流用されている。
株式会社円谷特技プロダクションが法人として正式に設立されたのが本作公開の翌年1963年で、「ウルトラQ」と「ウルトラマン」の放送が1966年か。
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