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無能の作り方

割と意識高い系な文章かも。

まだハッキリ結論は出ていないけど、自分の過去を振り返って、また周りの人の働き方を見ていて感じている悩みみたいなこと。
最近、人がどうやって素人から仕事人、プロフェッショナルになっていくか、または何者にもなれずに、中途半端に終わってしまうのか考える機会があった。

プログラミングが苦手だった学生時代

少し昔話をすると、オイラは情報系の大学へ進学したけど、大学生の頃はプログラミングの演習が苦手で、他の学生のレベルについていけなかった。研究室でも、他の同級生達と開発スキルにはかなりの開きがあった。

研究室ではCGの描画アルゴリズムを研究していたので、そもそも基本となる既存のアルゴリズムぐらい実装できないと新しいアルゴリズムなんて到底実装できないのだが、残念ながら、オイラのプログラミングスキルだけでは無理だった。同級生達と共同開発する(オイラはほぼ乗っかっただけ)という形で学部の卒業研究を乗り切った。その辺は今でも同級生達に感謝している。Subversionでのコード管理を覚えたのもこの頃だった。この体制を3、4年生の2年間続け、同級生達の書いたソースコード、コメントを読んでプログラムの設計・開発を学んだ。(言語はJavaだった)

劣等生なりの居場所を見つける

2年間続けたおかげで、終わり頃には開発についての会話に参加できるようになったけど、初めた当初はホントに何の貢献もできなかった。プログラミングができないので、消去法的に、どちらかというとそれ以外のことをメインで担当する係になっていた。プログラミングは1番できなかったけど、Mayaの操作は他の人よりもできたので、検証用CGモデルのモデリング担当みたいなポジションになっていた。

オイラのモデリングスキルはいわゆるクリエイティブ分野では全く太刀打ちできるスキルレベルではないけど、エンジニアリングに長けた人ばかりが集まっている狭いコミュニティの中では、消去法的にそういうポジションに納まることができた。環境を選べば、自分のスキルレベルが未熟であっても、まるで自分がクリエイティブであるかのように、自分の居場所を作れてしまうのだ。本来身につけるべきスキルを習得せずに、自己肯定の口実を得てしまう。


会社というコミュニティ内での劣等生

それと似たような光景を、会社でも時々見かけることがある。
オイラのいる部署は、基本的にソフトウェアエンジニアだけを集めた開発部署だが、ちょっとしたプロトタイプを作る場合には、専門の企画・デザイナーを立てずにエンジニアだけでちょっとしたデモ開発をすることがある。その場合に企画やデザイナーの代役を務めるのは、エンジニア職だが開発が苦手な人だったりする。情報系の大学・大学院を出てはいるが、プログラミングよりも実は企画を提案したり、イラストを描くのが好きという人。(オイラには企画職のスキルを上手く定義できないので曖昧な表現になっています)

この手の人は往往にして、周りの要望に応え、部署内でもどんどんエンジニアリング以外の作業へ舵を切っていく傾向にある。苦手なことより好きなことで仕事ができるのだから当然ではあるが、それを長く続けることで苦手な開発スキルもよりいっそう停滞したままとなる。そして、エンジニアだらけの部署内では企画・デザイナー職のスキルレベルを測れる人がいないことも相まって、企画・デザイナースキルも大して向上しないまま、なんちゃって企画職、なんちゃってデザイナー職と化していく。


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無能の誕生

所属部署がずっと変わらずそのままならとても幸せなことかもしれない。だが、組織改編、または周りが気を利かせて、その人を企画やデザイン専門の部署へ異動させると、悲劇が待っている。「開発に精通している上に企画やデザインにも理解がある人」として迎え入れられたはずが、実は「企画やデザインなんてできない癖に開発のことも知らない人」であることが露呈してしまう。側からは本来鍛えておくべきだったスキルセットが全く備わっていない無能な人に映る。

これはいわゆるオタサーの姫と似たような構造ではないだろうか。狭い範囲のコミュニティで自分のポジションを作ってしまうと、スキルアップの機会も失ってしまう。この場合、最初に所属するコミュニティを選ぶことも重要なのかもしれない。

学生の頃の指導教授が言っていた「理系の女性が学部卒で大手メーカーに就職したら一生お茶汲みですよ」というやや過激な発言も、最近はその意味がなんとなくわかるようになった。最初に打席に立てるレベルでないと判断されたら、その後もなかなか打席に立たせてもらえないし、本人も打席に立つ以外の「その他」ポジションへとだんだん順応していく。打席に立てなければ、本来その環境で得られるはずのスキルセットもなかなか向上しない。そしていつの間にか戦力外の「無能」扱いとなる。

スキルセットの向上と獲得

もちろん、これとは逆に「専門性を極めまくったが、専門分野そのものが絶滅してしまった」という無能化の可能性もある。必ずしも専門スキルが高い人が有能というわけでもないのが今の時代だ。

ただ、1つ言えるのは「分業に甘んじていると無能化してしまう時代である」ということではないだろうか。
これからの時代、分野横断型のスキルは少なからず必要だ。ただし「◯◯もできる」というのはあくまで+αの要素でなければならないと思っている。本来求められているスキルセットが欠落しているのでは話にならない。1つ徹底的に深い武器を持ち、それを軸足に2つ目を手に入れるような心構えだろうか。

ちなみに、オイラの研究室の同級生はみんな学部卒で就職してしまったので、大学院では1人で研究プログラムを開発する境遇となりましたよ。


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