川上量生さんの著書「鈴木さんにも分かるネットの未来」を読み終えた。結局この年末年始は1冊しか読み終わらなかった。夏休みやお正月休みはいつも何冊か本を読もうと過剰な期待をして、結局積読が増えるパターンである。
この本を買った頃は確かまだ夏だったのだよ。。。
以前読んだ同じく川上量生さんの著書「コンテンツの秘密―ぼくがジブリで考えたこと」と同じように、この書籍もスタジオジブリつながり。podcastで聞いているラジオ番組「鈴木敏夫のジブリ汗まみれ」で紹介されていたので手に取ったわけです。
書籍のタイトルにある「鈴木さん」とはスタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーのこと。そのタイトルの理由は、本書の「はじめに」を引用する。
ぼくが師事するスタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーに入社当初から与えられていたテーマがあります。ネットとはなにか、をぼくにも分かるように書いてくれ、という命題です。
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ネットについてであれば、ぼくにはいろいろ持論があっていくらでも書きたいことはありました。でも、おまけでついてきた“ぼくにも分かるように”という条件にとても困りました。鈴木さんはネットのことをなにかにつけて頻繁に聞いてくる割には、説明を始めるとすぐに飽きてしまうのです。興味をなくしてどっかに行ってしまうか、自分の話を始めてしまいます。
鈴木さんに話を最後まで聞いてもらうのはとても大変なのです。しかし、ネットの外に届けるためには、ぼくが理解できるぐらいじゃないと駄目だという鈴木さんの強弁にも多少の理があることは認めざるをえません。どうやったら鈴木さんに理解してもらえるか。ずっと考え続けてきた結果、多少のノウハウはつかみました。
ということで、現在のネットサービスの構造と、それ以前からある産業との関係について、そして近い将来どんな時代がやってくるのかの予想がとても平易な表現で語られている。
Web系のサービスでは、謎の横文字を付けて全く新しいもののように装ったものが多いが、それらも同じビジネスモデルを踏襲しているに過ぎない。収益構造の観点で読み解くと、ネットビジネスの未来が見えてくる。
紙の書籍は全て電子書籍へ移行してしまうのか、テレビはネットに駆逐されるのか、プラットフォームとコンテンツの関係から、ビジネスの覇権を握ることになるのはGoogleか、Appleか、Amazonか。
「覇権はドワンゴが握る」なんてことはちっとも書いていないのが謙虚というか客観的というか(笑)
未来予想の根拠にちょこちょこニコニコ動画の運営で得たケーススタディが出てきて説得力がある。オイラはビットコインについて全然わかってなかったんだけど、本書の解説でやっとその仕組みがわかった。「コンテンツの秘密」の方もそうだけど、平易な言葉づかいでもちゃんとそれぞれの概念を定義してから解説を進めて行く語り口は理解しやすい。人によっては理屈っぽいと感じるかもしれないけど、オイラはその方が読みやすい。
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